古江彩佳(22=富士通)が最終日にコースレコードの62をマークし、米ツアー初優勝を逆転で果たした。

18番グリーン上に向かう途中、ギャラリーから大きな拍手で迎えられた。バーディー締めでホールアウト。同組選手と抱き合って健闘をたたえ合い、クラブハウスリーダーとして後続を待った。米ツアー初Vを決めても、涙やガッツポーズなど感情を表すことはない。「初めて優勝した気持ちが強いかな」。普段通り、にこやかな笑顔も淡々と優勝の喜びをかみしめた。

最終日は首位に4打差の9位でスタートした。「追いつこうとは思っていた」。6番から6連続バーディーの猛チャージ。「本当に集中していて、気付いたら6連続だった」。“ゾーン”に入っていた。

15番のバーディーで単独首位に。16番のリーダーボードで順位を確認した。「難しいコース。ちょっとでもドライバーでミスすればすぐにボギーになる。もうちょっと頑張ろうと思った」。優勝を初めて意識したのは17番のバーディーパットを打つ前。「決めれば、結構(優勝は)確実になるかなと。自分にプレッシャーを与えながら打ちました」。

最終18番は勝負に徹した。ティーショットは3日間ドライバーだったが、この日はキャディーのマイク・スコットさんのアドバイスで3Wを握った。「左バンカーがあって、ドライバーでミスすれば入る距離。そこは押さえて3Wでと。パーセーブを考えました」。大きな大会のティーショット以外、緊張はしないタイプ。最終ホールも緊張は「しなかった」。「常に気持ちはフラットにするようにしている」と明かした。

最終日の10アンダーは自己最少スコア。9アンダーはプロテストでマークした。勝負強さが光る。

すでに米ツアー6勝の畑岡奈紗からも祝福を受けた。「おめでとうと言ってくださるのは本当にうれしい。奈紗さんのように、もっと優勝回数を重ねられるように頑張りたい」。

次週は今季メジャー最終戦のAIG全英女子オープン。2週連続Vの期待がかかる。「変わらず自分のプレーに集中できたら、今週みたいに優勝ができるかな。自分のベストを目指して頑張りたい」と淡々と意気込んだ。

調子が良い時の行動はルーティンにする。今週は試合後、毎日アイスクリーム店に寄って食べてから帰った。この日もアイスクリームを食べて帰るか聞かれると「はい」と笑顔を見せた。会見後も関係者からプレゼントされたアイスクリームをほおばっていた。【近藤由美子】

 

◆全英女子オープン過去の日本人成績 01年にメジャー大会となってから日本人が優勝したのは、19年の渋野日向子だけ。全英女子の会場のほぼ8割はリンクスコースで、当時の会場ウォバーンGCはリンクスではなかった。渋野以外の日本人最高は、08年不動裕理と09年宮里藍の3位。08年の不動は最終日首位スタートも申ジエに逆転された。この年のコースも森に囲まれたコースでリンクスではなかった。宮里は08年にも5位に入り、10年と06年には9位とトップ10に4度入っている。次ぐ成績は、18年の比嘉真美子の4位。20年には上田桃子が6位に入っている。昨年は古江彩佳が日本人最高の20位。ちなみに、メジャー大会となる前は、84年に岡本綾子が渋野と同じウォバーンGCで優勝している。