19年大会覇者の渋野日向子(23=サントリー)が、プレーオフ進出に1打及ばず、涙をのんだ。3年前と同じく、優勝したアシュリー・ブハイ(33)と最終日最終組で、パープレーの71にまとめて通算9アンダー、275。スタート前の5打差から1打差と詰め寄ったが、日本人初のメジャー2勝目を逃した。それでも、連続ボギーをイーグルでバウンスバック、最難関ホール14番のダブルボギーにも諦めないプレーで、3年間の成長を見せつけた。

   ◇   ◇    ◇  

渋野が泣いた。「やりきったとは思うんですけど…やっぱりすごく悔しいです」。ホールアウト後の中継局インタビューで、抑えていた感情があふれ出した。粘って、我慢したパープレーで5打差を1打差としながら、プレーオフを逃した現実はつらかった。

泣く資格のある戦いだ。

序盤、最悪の展開をビッグプレーで巻き返した。3、4番で連続3パットのボギーを喫したが、5番パー5でイーグルを奪った。残り173ヤード、猛烈なフォローを計算し、8番アイアンで距離感ドンピシャのピン右6メートルに2オン。ビッグチャンスを決めた。

4日間通算のホール別難易度1位の14番パー4で、第1打がポットバンカーに捕まり、ダブルボギー。絶対にやってはいけないミスをして、残り4ホールでブハイと5打差に開いた。そんな絶望感にも屈しない。ブハイが15番でトリプルボギーをたたき、まさかの2打差に。17番パー5で、フォローの残り243ヤードを7番ウッドでピン前15メートルに2オン。2パットのバーディーで1打差とした。

「最近の私の調子からして、最終日最終組で回れたのは本当に奇跡」という。5月以降、日米8戦で予選落ち6度、棄権1度。前週まで絶不調と呼べる結果続きの流れを、思い出の全英で変えた。3年かけて培ったタフさがあった。

「3年前は海外が初めてでいろいろ楽しかったけど、今回は本当に集中してゴルフを楽しめている。3年たって、いろいろ変えたり、覚えたりして、それを発揮できたショットが多いことに、本当に喜びを感じています」

衝撃の19年大会。ずっと笑顔で駄菓子を食べながら、最後は“壁ドン”でウイニングパットを決めたが、勢い任せではあった。恩師の青木翔コーチから離れ、ほぼ独学で「再現性」「ショットの精度」を求めて大胆なスイング改造に取り組み、ネットなどの誹謗(ひぼう)中傷まがいの書き込み、風聞に耐え、信じた道を歩んだ。ブレなかった。

「この4日間、いろんなことを学びました。忘れていたことを思い出したのもあるし、新しいことを学べたところもある。でも、ほんとになんでこんなに良かったのかな?」

3年間で強くなった。メジャータイトルにふさわしいゴルファーになったと証明した4日間だった。