日刊アマ常連の“社長ゴルファー”、村山嘉彦(58=熊本空港)が、4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの1オーバー73で、悲願の初優勝。シニアの部も制した。低く左右にブレないショットと、得意のパットが、かみ合った。一時激しく降る雨の中でも安定感があった。7オーバーまでの選手が、全日本シングルプレーヤーズゴルフ選手権大会(10月27、28日、石川・片山津GC白山コース)の出場権を得た。

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熊本市で通信販売会社を経営する村山が、通算で「25度ぐらい出た」という、関東や九州など日刊アマの全国大会予選を通して、初の総合優勝を果たした。

全国大会では、1度だけシニアの部を制した経験がある。そんな思い入れのある大会をついに制して「(全国大会開催の)片山津は難しいので、腕試ししたい。上位に入るのは、大学生が多いので無理ですけどね」と謙遜しながらも、声を弾ませた。

大雨の影響で、全体のスコアは伸びなかった。そんな中で「なるべく低い球を打とうとした。左右に行かないように意識した」という低い弾道のショットが安定。「前半はパットがよく入ってくれた」といい、得意とするパッティングも要所でかみ合った。

3番パー5で、ピンまで残り95ヤードを52度のアプローチウエッジで3メートルに寄せて、登って下るラインを読んで初バーディー。勢いのまま、3バーディー、2ボギーの1アンダーで折り返した。

後半へは「ハーフ時点で2アンダーが1人だったので、まあまあいい所にいる。ミスしないように慎重に行こう」と引き締めた。そして、10~15番まではパープレー。16番パー3で、1・5メートルの下りスライスラインから4つ目のバーディーを奪った時点で「1、2位には入るかもしれない」と手応えを感じていた。

24歳でゴルフを始めて30年超。野見山杯10度目出場でV。これを糧に「20度ぐらい出ました」という全国大会に挑む。【菊川光一】

◆村山嘉彦(むらやま・よしひこ)1964年(昭39)4月25日、神奈川県生まれ。ゴルフは24歳で始める。東京都立秋川高出身。高校時代は陸上部でやり投げ選手。熊本へは仕事の都合で移住した。ベストスコア66。得意クラブはPW。ドライバー平均飛距離230ヤード。167センチ、62キロ。

◆小倉カンツリー倶楽部 1961年(昭36)開場。丘陵地に造成され、池が巧みに配置された18ホール。戦略的なレイアウトで、グリーンは起伏に富む。コース設計は上田治氏。クラブハウス設計は皇居新宮殿建設などに関わった吉村順三氏。08年に日本ミッドアマ開催。所在地は北九州市小倉南区西貫2の1。電話093・471・7611。

▽日刊アマ大会委員長・緒方比呂志氏(54) 昨年度の大会で優勝した松岡國男さんに引き続き、本年度もシニアの村山嘉彦さん(58)が若手を抑えて見事に優勝されました。村山さんは熊本から毎回、大会に参加しており、野見山杯の大会の重みを理解してくださっている方でした。ゴルフへの取り組みもまじめで、若手にもいい刺激になったことをうれしく思います。

猛暑続きで芝の状態も気になりましたが、非常に手入れが行き届いた状態で、仕上がりも二重丸。ゴルフ場のスタッフに感謝です。今日は台風の影響で、雨も降り、グリーン上の速さが出せなかったかも知れませんが、選手はみなさん必死なプレーで大会を盛り上げてくれました。

今年も昨年同様、大会は1日のみの競技となりましたが、かつてのように2日間開催なら、もっとアマゴルフファーの熱も上がるのではないかと思い、来年度の大会に期待しています。

○…02、11年大会覇者で63歳の尾家は、2バーディー、7ボギー、1ダブルボギーの79に終わった。大雨に見舞われた前半から2番パー3でOBありのダブルボギーや、4連続ボギーで波に乗れず。後半立て直しを図るも「(プレーは)天候のようにどしゃぶり。年とともに末端神経までうまくいかない」と、かつて九州トップアマとして君臨した往年のキレを欠いた。

○…福岡・沖学園中3年で14歳の大会最年少、叶は1バーディー、6ボギーの5オーバーだった。今年は全国中学校体育大会3位、日本ジュニア7位入りと実績十分。だが、この日、1番パー4でバーディー発進も、その後はボギー先行で苦しんだ。来春は、そのまま沖学園高に進む予定。将来は高卒でのプロ志望で「賞金女王になって、みんなから応援される選手になりたい」と夢を抱いている。

○…プロテスト受験中の権藤は、2バーディー、9ボギー、1ダブルボギーの9オーバーに沈んだ。だが、10月の2次テストへ課題も見つかった。「ショット、アンジュレーション(起伏)のあるグリーンはいい練習になった」といい、4年連続で受験中のプロテストへ手応えも。研修生として所属する西日本カントリークラブで精進に励む。

○…97年日刊アマで全国制覇、今大会でも準優勝5度の野上が、出直しを誓った。狭窄(きょうさく)症で腰にコルセットを装着してのラウンド。大雨の影響も受けたアウトスタートの前半は48と出遅れた。それでも、インの17番でバーディーを奪うなど後半37の2オーバーで意地は見せた。尊敬するトップアマ尾家と同組とあり「楽しかった。尾家さんから腰を万全にして復活してこいと言われた。重みのある大会だし、来年以降も尾家さんと盛り上げたい」と話した。

○…リベンジを誓って大会に臨んだ市丸が、まさかの誤球に泣いた。インの前半15番(パー4)。第1打で放ったボール位置が同伴者とほぼ一緒。ボール番号とメーカーも一緒とあり、誤って同伴者のボールを打ってしまい、同ホール「8」の大たたき。アウトの後半は2アンダーで実力を発揮も、1ミスが痛かった。「去年の大会はトップで折り返して結局4位。今年こそは優勝と思って臨んだのに」と無念の様子だった。

○…14年大会の王者・江口は滑り出しで波に乗れず。アウトの前半1番ミドル(パー4)。ピンそば1メートルにつけ、ほぼ真っすぐのラインで楽々バーディーかと思われたが、わずかにカップの左にそれてパー。2番ショート(パー3)では3パットでボギー。大雨でスコアも大荒れ。前半44で折り返した。インの後半は1アンダーの34で実力発揮も序盤が痛かった。「実は優勝を狙っていた。1番でバーディーがくれば気分的に乗っていけたのに…」と悔しそうな様子だった。

○…14年大会でプレーオフの末、惜しくも準優勝となった今村が、またも勝利の女神に見放された。アウトの前半1番から3連続バーディー。2アンダー35でトップターン。しかし、インの後半14番ショート(パー3)。6番アイアンのティーショットが若干ダフってしまい、池ポチャで無念のトリプルボギー。優勝にわずか1打届かなかった。「池ポチャのショットは力んだ。自滅と書いておいて」とガックリ肩を落とした。

〈過去に大会準優勝の経験を持つ高尾は5オーバー〉ショットは良かったがパットが入らなかった。雨が降った前半アウトの中盤より、雨がやんだ後半インのほうがスコアが悪かった。