小平智(33=Admiral)が、18年の今大会以来、4年ぶりとなる日米通算9勝目に王手をかけた。

4バーディー、1ボギーの67と3つ伸ばし、通算11アンダー、199。首位で並んで出たブラッド・ケネディ(オーストラリア)と、8位から浮上した出水田大二郎を2打差の2位に退けた。

スタートから8ホール連続パーで迎えた9番パーで、最初のバーディーを奪った。ピンまで8メートルと、距離のあるカラーからの第3打をパターで決めた。直後の10番パー4こそ唯一のボギーとしたが、後半は3バーディーを奪取。16番パー4では10メートルを沈めるなど、随所でパターがさえた。

「この3日間、落ち着いて回れているのは合格点だと思いますけど、そこまでバーディーチャンスがなかったです。ドライバーはイメージ通りですけど、アイアンがなかなかつかない。距離感が合わず、そこがまだ課題」と、最終日に向けて気を引き締めていた。

18年に米ツアーのRBCヘリテージで優勝し、米ツアーのメンバー入りを果たしてから、主戦場を米国に移した。その後は毎年、国内ツアーには終盤戦など限定的に出場してきた。そんな中で、自ら「タイガーオタク」というほど、米ツアー歴代最多に並ぶ82勝を挙げているタイガー・ウッズ(米国)の言葉に影響を受けてきた。今季、特に小平に響いたのが「1打1打に集中する」「人(のプレー)に一喜一憂せず、自分のことだけを考える」という、YouTubeで見た動画で語られていた言葉だという。

「今までは、いくつ伸ばさないといけないとか考えていました。でも、それをやっていると、自分にプレッシャーをかけて良い方向にいかない。自分が最善を尽くして負けるのは悔いがない。割り切れるようになった」。優勝争いをしていても、以前よりも高い集中力、冷静な判断力など、精神的に強くなった実感がある。ラウンド中にリーダーボードを目にしても、伸ばしている他の選手がいても「いいゴルフをしているな、ぐらいで、自分がもっと伸ばさなきゃとは思わなくなりました。他人のゴルフに影響しなくなりました」と、動じなくなった。

「アメリカで活躍することが目標なので」と、来季以降も軸足は米ツアーと考えている。それだけに、今大会優勝で得られる3年のシード権が持つ意味は大きいかと思いきや「それは勝ってから。明日(最終日)やってみないと分からない。それがほしいというふうには、今は思っていないです」と断言。プレー以上に内面が円熟味を増し、4年ぶりの歓喜の瞬間が、刻一刻と近づいてきた。