4打差5位で出た谷原秀人(44=国際スポーツ振興協会)が、逆転で昨年に続く連覇で今季初優勝、通算17勝目を挙げた。5バーディー、ボギーなしのベストスコア65で回り、通算12アンダー、268。2打差以内に6人の混戦を制し、10~12年に3連覇した藤田寛之以来、10年ぶり6人目の大会連覇を果たした。

ファンなどから批判的な意見も多かった、サウジアラビア政府系ファンドが支援する超高額賞金の新ツアー「LIV(リブ)招待」に出場することに対しても初めて言及し、持論を展開した。

「日本人で(リブ招待に)『出たくない』というプレーヤーはいないと思うんですよ。『どうやったら出られるんですか』と、逆に聞かれるぐらい。みんな、そういうところで戦いたいというのは、あると思うんですよ」

選手会長という、率先してツアーを盛り上げる立場でありながら、リブ招待に4試合出場したことで、ゴルフファンからの批判が強まった。またリブ招待がメジャーをはじめ、伝統と格式を備えた多くの試合を開催する米男子ツアー(PGA)と対立。メジャー覇者ら多くのトップ選手が、巨額の契約金で移籍したと報道され、新ツアーそのものが“ヒール(悪役)”のような立ち位置に世界的になったことも、谷原への批判を増加させた。

「悪い報道しかされていないと思うんです。『何でこういう記事になるんだろう』というのは、大いにあります。リブはリブで、いいところはめちゃくちゃある。リブのおかげで、PGAツアーが来年以降の賞金を増やした。最低賞金も出した。リブは選手のために、ものすごい努力もしています。僕は契約金の話は分からないですけど、まず日本人選手に契約金などないです。すごい巨額な金額の契約金の報道も出ていますけど、実際にはそこまで高くないと思います。話をしていたら」

そもそも谷原がリブ招待に出場するのは「スーパープレーヤーが出るツアー。刺激をもらえる。選手なので競いたい」というのが、最大の理由だ。高額賞金ゆえに、その部分ばかりに注目されるが「僕の持論を言うと」と続けた。

「例えばタイガー(ウッズ)が招待されて、日本の試合に出て何億稼ぐのか。それと同じだと思うんですよ。考え方1つだと思います。サウジのお金だからダメなのか。そこが難しいところ。もしも、これがアメリカの大企業が同じことをやっていたとしても、PGAツアーは、たたいているんじゃないかと思います。自分のところの選手が『こっちでもプレーしてくれ』と言われるわけですから。今のPGAがやろうとしていることは、いきすぎている部分はあるんじゃないかなと思います。全部が全部、PGA寄りになっている」

谷原が「スポーツは今、時間短縮の流れになっている」と言う通り、例えば野球が五輪種目として存続するために、9回まで行わずに短縮される可能性などが模索されたことがあった。リブ招待は、さまざまなホールからスタートし、全選手の競技終了を5時間以内にすることを目指しているという。またゴルフの試合が終了した後には、同じ会場でコンサートも行うなど、新規ゴルフファン開拓にも積極的。そういった側面が、リブ招待にはあることも谷原は説明していた。