国内女子ゴルフツアー通算4勝の原英莉花(23=NIPPON EXPRESSホールディングス)が、年女として迎える23年に3つの誓いを立てた。日刊スポーツのインタビューに応じ、(1)年間順位とバーディー数の自己最高、(2)国内メジャー優勝、そして(3)米国女子ツアー挑戦が目標と明言。22年はプロ1年目の18年以来、4年ぶりに未勝利と不完全燃焼の1年となった。今年は開幕戦ダイキン・オーキッド・レディース(3月2日開幕、沖縄)から優勝を狙い、うさぎ年らしく飛躍の1年を目指す。

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逆襲と飛躍の23年へ、原が燃えている。4年ぶり未勝利の22年は「悔しいシーズン」と、唇をかんで振り返った。特に前半戦は腰痛の影響もあり、出場17戦でトップ10入りが1度、予選落ちは6度もあった。夏場は、出場した3戦連続で予選落ちも経験。後半戦は、出場16戦でトップ10入りが6度と盛り返し「自分と向き合いながらゴルフができた」と、上昇ムードでシーズンを終えた。それだけに「すごく燃えたままオフに入ることができた」と、例年以上に意欲的に練習している。

畑岡奈紗や渋野日向子らと同じ、98年度生まれ「黄金世代」の中で早生まれ。99年生まれで年女の今年、原は3つの目標を掲げた。

(1)年間順位とバーディー数の自己最高。年間順位は22年、総合的な活躍を評価するメルセデス・ランキングに一本化され、原は31位だった。それまでは賞金ランキングが年間順位に相当し、自己最高はコロナ禍でシーズンが統合された20-21年の8位。バーディー数は同年の471個が最多だが、今季の全38戦よりも多い44戦に出場してツアー13位だった。単年では19年が36戦に出場し、369個でのツアー4位。個数も順位も、まずは19年超えが目標だ。

原 「メルセデス・ランキングとバーディー数でキャリアハイ! バーディーにこだわりたいです」。

(2)国内メジャー優勝。20年に日本女子オープン、ツアー選手権リコー杯と、国内メジャーで2連勝した。21年5月のワールド・サロンパス・カップは、不動裕理以来、史上2人目の国内メジャー3連勝に挑んだが54位。国内4大大会ではその後、21年日本女子オープンの11位が最高。トップ10入りを逃し続けている。

原 「やっぱりメジャーで勝ちたいです。(4大メジャー全制覇は)もちろんやってみたいです。毎年、春先が弱いので、茨城GC(ワールド・サロンパス・カップ)を攻略したいですね。日本女子プロ選手権も魅力的。でも、どの試合でもいいのでメジャーで勝ちたいです!(笑い)」。

(3)米女子ツアー挑戦。畑岡を先頭に、昨年は渋野、今年から勝みなみと、同い年の3人が、米ツアーを主戦場に移すことになった。米ツアーのメジャーには3度挑戦し、全て予選落ち。最後に挑戦した21年8月のAIG全英女子オープンでは、決勝ラウンド進出を逃すと「すごく楽しかった。でもやっぱり本当に悔しい。まだまだゴルフ人生は長いので、前を向いてこれからもチャレンジしたい」と、泣きそうな顔で誓っていた。その思いは今も変わらない。

原 「まずは世界ランキング75位に入って、最終のQT(予選会)に。『23年の誓い』って言うと大げさかな(笑い)。でも、それを目指します。1試合1試合頑張るしかない!」。

例年、8月上旬の世界ランキングで75位以内の選手は、翌年の米女子ツアーの出場権を懸けた1、2次のQTを免除される。11~12月に行う最終QTから出場可能。今年最初の2日付世界ランキングで原は128位。国内ツアー開幕から約5カ月あれば、十分手の届く範囲だ。だからこそ今年は「開幕戦から優勝する気持ちで、このオフはしっかりと取り組んでいます。1年間、調子の波の激しさを減らしながら、強気なプレーを続けたいです」と、スタートダッシュへの思いは強い。海外トップ選手に勝るとも劣らない、173センチの長身から放たれる国内ツアー屈指の飛距離が武器。名実ともに日本人女子の顔として名を上げ、世界進出の足がかりとなる1年にするつもりだ。【高田文太】

◆原英莉花(はら・えりか)1999年(平11)2月15日、横浜市生まれ。10歳でゴルフを始め、湘南学院高から尾崎将司に師事。プロ1年目の18年は、QTランク117位から、下部ツアー2戦2勝などでツアー出場を増やし、賞金ランク38位で初シード獲得。プロテストは同年7月に2度目の挑戦で合格。19年6月のリゾートトラスト・レディースでツアー初優勝。20年に日本女子オープンとツアー選手権リコー杯、21年に大王製紙エリエール・レディースを制し、ツアー通算4勝。173センチ、58キロ。

◆年女を迎えた主な女子プロゴルファー 87年生まれの有村智恵、笠りつ子、原江里菜、99年生まれの畑岡奈紗、稲見萌寧らがいる。