今年の国内女子ゴルフツアーは、3月2日開幕のダイキン・オーキッド・レディース(沖縄・琉球GC)から始まる。

賞金総額は昨年の史上最高額を更新。近年は国内外で若手の台頭が目覚ましく、今季も活躍が期待される。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)小林浩美会長(60)がこのほど取材に応じ、2013年から掲げてきた強化策の成果を強調。あらためて世界最高峰の米男子ツアー(PGA)を目標に掲げた。【取材・構成=高田文太、近藤由美子】

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-賞金総額(44億9000万円)は単年で最高だった昨季よりも4786万円増で史上最高額になる。その要因は

「半数が4日間大会という目標を達成できた。4日間大会は総額1億円以上をお願いしている。4日間が増えるたびに賞金も増え、選手も努力し、実力が上がっている。選手の頑張り、ツアーの価値に対する評価が大きい」

-昨季、印象に残った選手は

「たくさんいます。山下美夢有さんの年間女王で18ホール最少ストローク60の記録を筆頭に、西郷真央さんの10戦5勝という勝率。ともに11年ぶりのブランク優勝を果たした金田久美子さんと藤田さいきさんにも心を揺さぶられた。川崎春花さんは日本女子プロ選手権で最年少優勝。皆が自分も自分もって、上位争いがすさまじい」

-活躍する若手をどう見ている

「思い切りがいい。自分の限界にキャップをはめないことが特徴で目標も高くなっている。人生の選択なので、米国へ行きたくなったら、ガンガン挑戦してほしい。幅広く活躍してほしいのが協会の願いです」

-古江選手は昨季、米ツアールーキーで1勝

「ゴルフがとても安定している。いきなり行って勝つのは大変。福嶋晃子さんも1年目だったが、岡本さんや畑岡奈紗さんは2年目、私や宮里藍さんは4年目だった。なかなかできないこと。お母さんの支えも大きかったのでは」

-同じ1年目の渋野選手はシード権を獲得も初Vには届かなかった

「世界一、選手層が厚い米ツアーでシードを取ったことは素晴らしいこと。スイング改造をやりながらの転戦だったから苦労したと思う。メジャーでもV争いをした。すごく力あるということ」

-今年から勝みなみ、西村優菜選手が米ツアーに本格参戦。それぞれの強みと課題は

「強みは国内で実績を出していること。そのまま自分のゴルフをぶつけたらいいと思う。芝質が違うところは必要な技術力を加味していけばいい。国内で時差があり、移動距離も長いツアー生活はペースをつかむまでは大変だが、勝さん、西村さんなら活躍できる」

-日本人が若いうちから世界で活躍することが当たり前の時代になった

「もともと3日間大会が主流だった日本の女子ツアーで、4日間大会を主催者様のご支援で半数までに増やすことができた。生活リズムは日本で作り慣れている。環境が米ツアーにより近づけるように、13年から始めたツアー強化は『世界で勝つ』ことを大きな目的にやってきた。環境作りでは大いに成果が出たと思っている」

-25年からツアーはJLPGAが主催となる。将来的には

「(米男子ゴルフの)PGAツアーが目標。はるかに高い目標だが、エンターテインメント性やプロスポーツビジネスなど、少しでも近づきたい。女子ツアーは年間パスがまだなく、よりファンの方々が楽しめるようなサービスも付加していきたい。ツアー全体に横ぐしをさす施策や新たな取り組みなどのため、ツアー一括管理という座組みの変更をお願いしている」

◆小林浩美(こばやし・ひろみ)1963年(昭38)1月8日、福島県生まれ。磐城女高卒業後にゴルフを始め、84年プロ合格。日米欧ツアー通算15勝。日本女子オープンなど国内ツアー通算10勝。90年から10年以上、米ツアーを主戦場に同ツアー通算4勝、97年エビアンマスターズを制し、欧州ツアー1勝。08年からJLPGA理事。11年2月JLPGA第6代会長就任。6期目。3月に7期目を迎えることが事実上決定。

○…JLPGAは今年からテレビの放映権を有料化する。テレビ中継が減る可能性について小林会長は「主催者様の判断。減るとは聞いていないので、例年並みとみている」とした。昨年から有料でネット配信も始めたが「初年度としてはいい反響だった。視聴方法の選択肢が増えて、幅広い人にささる。インターネットもテレビ放送も全部やりたい」と話した。