通算13アンダー首位から出た岩井明愛(21=Honda)が4バーディー1ダブルボギーの70で回り、通算15アンダーの201。追いすがる小祝さくらを振り切り、4月のKKT杯バンテリンレディース以来となるツアー通算2勝目を、自身初となる初日から首位を守る完全優勝で飾った。

初優勝後は2位が5回もあるなど安定感抜群の成績を残していたが、2勝目をなかなか挙げられず。「すごく長かった。自分は勝てないとも思った。不安はあった」と涙。応援に来た知人にも「期待しないで」と話していただけに、惜敗続きにピリオドを打つ、うれしい2勝目となった。

トラブルもあった。スタート前、ロッカーにヤーデージブックを置き忘れたことに気付いた。「過去にも何回か忘れたことがあった。今日は時間もなかったので、キャディーさんも持ってるし『いいや』と思った」と割り切った。

1番を幸先よくバーディーとするも、その後は我慢のゴルフが続いた。「バーディーをいっぱいとるゴルフはなかなかできない。取れなくても耐えようと思っていた。焦らないようにしていました」と平常心を貫いた。

トラブルは続く。後続に4打差を付け、楽勝ムードが漂った14番。バンカーからの2打目をOBとした。父の雄士さんは思わず「負けるかもと思った」と振り返ったが、娘は動じなかった。「落ち着いてた。OBしても大丈夫という自分がいた。最終日ってミスショットやトラブルは絶対来る。自分のゴルフはそうなんです。それを知ってるので、心を広くして戦えたのが大きい」と岩井明。3メートルのダブルボギーパットを落ち着いて沈め、傷口を最小限に抑えた。

小祝に1度は並ばれたが、16番でバーディー。18番のウイニングパットを沈めると、両手でガッツポーズした。

3勝目に向けて「狙ってとりにいくと危ないので、今日みたいに期待しないでやっていきたい」。

メルセデスランキングも上位に位置し、年間女王争いの一角だが「あんまり考えてないですね。でも、いずれは狙いたい。今年もチャンスだと思うので、あんまり自分で『狙ってる』っていう目標はたててないですけど、これから立てるかなとは思います」と語った。

2勝目を挙げたご褒美については「フルーツが食べたいですね。マスカットとかさっぱり系のものを食べたい」とさわやかに笑った。【阪口孝志】

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