2位を1打リードして首位から出た岩井千怜(21=Honda)が、大会コース記録を更新してツアー通算5勝目を挙げた。5バーディー、ボギーなしの67と5つ伸ばして回り、通算18アンダー、270。1打差の2位から出た西郷真央との激しいマッチレースを制し、初めて開幕戦で優勝した。21年大会の小祝さくらが持っていた、274(14アンダー)の大会コース記録を更新した。

出だしの1番パー4で、バーディー発進した西郷にいきなり並ばれた。だが2番パー4で、岩井千はピン奥5メートルからの下り傾斜の難しいパットを決め、最初のバーディーを奪って再び単独首位に立った。それでも西郷が、3番パー3で2つ目のバーディーを奪って再び並走。その後は、ともにパーを並べる、つばぜり合いの展開となった。

7番パー5では、互いにフェアウエーからの第3打を1メートル足らずにつけた。先に打った岩井千が90センチにつけたが、西郷も60センチへとピタリ。このホールで、ともにバーディーを奪い、1歩も譲らない展開。前半で岩井千が2つ、西郷が3つ伸ばし、15アンダーで折り返した。この時点で3位の仁井優花が11アンダー、4位の菊地絵理香と神谷そらが8アンダーと、上位2人とはスコアが離れており、終日マッチレースの展開となっていた。

後半も11番で岩井千が先に3つ目のバーディーを奪ってガッツポーズを繰り出し、単独トップに立った。だが直後の12番で西郷が伸ばして追いつかれる展開が続いた。緊張の展開が続いたが、1度も2位に後退することなく先頭を走り続けた。

14番パー4で、岩井千が第2打を2メートルにつけて4つ目のバーディーを奪って単独トップに立った。すると“取られたら取り返す”という流れが変わった。直後の15番パー4で、西郷が1・5メートルのパーパットを外し、ついに先にボギーをたたいた。17アンダーの岩井千に対して西郷は15アンダー。この日初の2打差となった。それでも最後まで手綱を緩めず、身上とする「攻めのゴルフ」を貫いた。17番パー4でも伸ばし、最終ホールを前に西郷との差を3打に広げ、事実上、勝負を決めた。

昨季は自身が2勝して年間6位、姉の明愛が3勝して年間3位。初シードの年にツアーの顔に成長した。今大会、明愛は2アンダーに終わったが、オフは同じトレーニングを積んでおり、復調するのは時間の問題。今季は、姉妹で年間女王を争う可能性さえも漂わせる開幕戦となった。

岩井千怜、涙の開幕戦初V 西郷真央から祝福のハグ/女子ゴルフ最終日写真特集3