【ブラックプール=木村有三】宮里藍(24=サントリー)が、日本人初の米ツアー年間獲得賞金100万ドル(約9500万円)を突破した。4打差3位でスタートした最終日は一時首位に並んだものの、終盤にスコアを崩して73で通算1オーバー289。優勝したカトリオナ・マシュー(39)に4打差、メジャー自己最高位タイの3位に敗れたが、10万9500ドルを加算して大台を超えた。米生涯獲得賞金でも岡本綾子(58)を抜いて日本人トップに浮上。終盤戦へ、賞金女王の期待も膨らんだ。

 宮里の表情は晴れやかだった。77年全米女子プロの樋口久子以来、日本人32年ぶりのメジャー制覇を逃しても「すごく頑張ったと思う。いい緊張感の中で自分を見失わず、集中してできた。4日間、精神面もフラットで回れて良かった」と話した。6番、7番でバーディーを奪い、10番終了時に首位マシューに並んだ。14番のボギー、17番のダブルボギーで力尽きたが、戦い切った充足感をにじませた。

 メジャー通算19度目の出場で6度目の10位内、06年全米女子プロに並ぶ自己最高位タイの3位だ。全英は2年連続トップ5入り。「去年はドライバーを真っすぐ飛ばすことで精いっぱい。今年は優勝争いにしっかり絡めた。ほんと、すぐそこまで(メジャーの)優勝は近づいてる。本当に忘れられない、手応えを感じた1週間だった」という。

 米ツアー初優勝を飾った前週のエビアンマスターズと今大会の2試合で、計59万7000ドル(約5670万円)を稼ぎ、今季獲得賞金が日本選手初の年間100万ドルを突破し、103万900ドルになった。米ツアー生涯獲得賞金も岡本を抜いて日本選手トップに浮上した。岡本が81年から20年間かけて稼いだ274万9508ドルを参戦4年目で上回った。

 今季賞金ランクは4位で、1位カーとの差は27万8302ドル。今季15戦でトップ10が8度で予選落ちはなしと安定感抜群だけに、残り11試合で十分逆転可能だ。87年の岡本以来となる日本人賞金女王という夢が膨らむ。「賞金は終わってからの結果、頑張った結果だと思う」と宮里は言う。感動の初優勝と、大きな自信をつかんだ欧州での2週間。その経験は、米本土での優勝と賞金女王がかかる終盤戦で、必ず心の支えになるはずだ。