<女子ゴルフ:日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯>◇第3日◇13日◇兵庫・美奈木GC(6645ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2520万円)

 07年賞金女王の上田桃子(28=フリー)が国内メジャー初優勝へ、1打差2位で最終日を迎える。7打差8位スタートのこの日、5バーディー、2ボギーの69のチャージで通算3アンダー213。米ツアー参戦、スランプ、3週前の復活Vを経て念願の戴冠は目前だ。大会初出場初V&最年少Vがかかる鈴木愛(20)が75と失速したが、通算4アンダーで首位を守った。

 最終18番パー4は、ボギーだった。パーならこの日のベストスコア68で、首位に並んでいた。それでも、上田は冷静だった。以前なら、ミスした自分を許せなかったのに…。8月下旬のCATレディースで挙げた3年ぶりのツアー通算10勝目は大きかった。だが、それだけじゃない。

 「CATで勝てたのは自信になってるけど、その前からメンタル面の準備はしてきたし。あと年齢もありますかね」。会見場でジョーク交じりに充実ぶりを説明した。

 男勝りのショットを武器に、攻撃的なプレーで「21歳156日」の最年少賞金女王に上り詰めた07年。ところが、08年から昨季までの米ツアー参戦で結果が出ずにもがき苦しんだ。

 「韓国の選手はいつもニコニコ明るいんですよ。ただ、自分には必要ないと思っていた。“いれこむ”のが自分だと思ったし。最近です。ああいうふうにできる余裕も必要だと」。いつも戦闘モードだったが、今は普段はオフにして、スイッチを入れるタイミングを見計らっている。

 冷静さが、この日の好プレーを呼んだ。先週のオフに、生粋のドローヒッターが将来を見据えてストレートの球筋ばかり練習した。いい感じで仕上がった。だから前日まで2日間はその球筋で勝負したが、スコアは伸びない。そこで、ドローを軸にフェードを交えた従来のスタイルに切り替えた。「ショットをうまく修正できたのが大きかったですね」と5バーディー、2ボギーの69が満足そうだ。

 首位と1打差で迎える最終日。プロ転向後23戦目の国内メジャーで初の頂点を狙う準備は、心技体とも整った。「いろいろ苦労して、考えて…。何か1周して戻ってきたみたいです」。28歳になった元女王が余裕の笑みを浮かべ、勝負の1日を迎える。【加藤裕一】

 ◆国内メジャー未勝利の賞金女王

 歴代女王は初代の樋口久子から計19人。うち国内メジャーに勝っていないのは90年高村博美、99年村口史子、07年上田桃子、13年森田理香子の4人。