<全国高校ラグビー:報徳学園44-0平工>◇30日◇2回戦◇花園

 平工(福島)は報徳学園(兵庫)に敗れ、チーム初の3回戦進出を逃した。

 8度目の挑戦でも、強豪の壁は破れなかった。平均身長で4センチ、同体重も3キロ重いBシード報徳学園相手に防戦一方。序盤から敵陣に進入できず、見せ場を作れないまま点差が広がった。高木邦夫監督(46)は「経験のなさ、引き出しの少なさが出た。相手が1枚も2枚も上」。大雨の中、格の違いを見せつけられノートライ。選手たちはガックリと肩を落とした。

 県予選決勝で披露した“秘策”も通用しなかった。大一番で本来フランカーの下山田領治(2年)を再びNO8で起用。26日の練習で左足首を痛め、強行出場した28日の初戦で今度は左太ももを打撲。万全な状態ではなくても攻守の要を任されたのは、期待の表れだった。テーピングだらけの左足で走り抜いたが「相手FWが強くて、全然止まらなかった。もっと前に出たかった」と唇をかんだ。

 この日から応援に駆けつけた同校OBの兄貴範さん(22)も2度はねかえされた鬼門は破れなかった。しかし、監督が「新チームを引っ張っていってほしい」と信頼する男には、もう1度チャンスがある。部員で唯一、小学校からラグビーを続ける下山田は「今日の負けを忘れずにキックの処理や精度を上げて、来年こそ花園で年を越したい」。悔しさと先輩たちの思いを胸に、再び聖地に戻ってくる。【鹿野雄太】