<全国高校ラグビー:東福岡102-0遠軽>◇30日◇2回戦◇花園

 V4へ100点発進!

 史上3校目の4連覇を狙う東福岡が、初戦の2回戦で遠軽(北北海道)から今大会最多102点を奪い、大勝した。計16トライと圧巻の強さを見せつけた試合で、1年でSOのレギュラーをつかんだ松尾将太郎が衝撃デビュー。タックラーを引きずりながら60メートル走ってトライを決めるなど、2トライで花園の初陣を飾った。

 水しぶきをあげて突進していった。雨に煙る花園第3グラウンドで衝撃の光景。前半14分、タックラーを引きずりながら60メートル走り、中央にトライを決めたのはまだ16歳、1年生SO松尾だった。170センチ、67キロとサイズはない。しかし、その強さは際だっていた。「体幹が強いんです。ギャップを突いて、前に出るプレーが好き」。試合が終わればあどけない笑顔の16歳。「最初は緊張したけど、楽しかった」と初めての花園を満喫した心臓も強い。

 レギュラーになったのは今夏だが、入学直後の春から試合に出ていたという。「能力は高いですよ。1年で10番(SO)をとるんだから」。4連覇の目標を引き継いだ藤田雄一郎監督(40)も大きな期待を寄せる逸材。「体が強いし走力もある」。部員125人の大所帯で15分の1をつかんだ実力をいきなり発揮した。

 憧れのジャージーがうれしかった。「ヒガシで花園でプレーするのが夢でしたから」。3連覇を飾った前回大会決勝の強さが、今も目に焼き付いている。中学では福岡県選抜にSOとして選ばれ、全国ジュニア大会で準優勝に導いた。ゲームをコントロールするだけでなく、自ら決定力を持つ。優勝候補筆頭に生まれた新星は強烈だった。

 圧勝で指揮官としての花園初陣を飾った藤田監督も表情を緩める。「いい形で入れたと思う。0点に抑えたのがよかった」。V3の戦力がつながり、新しい血も流れる。王者は王者らしいスタートを切った。【実藤健一】

 ◆松尾将太郎(まつお・しょうたろう)1996年(平8)10月19日、福岡・北九州市生まれ。小3からラグビーを始め、中1から2年間は千葉の成田チャオズRCでプレー。3年時に福岡に戻り中鶴少年RC所属。木屋瀬中から東福岡。中3時、福岡県選抜で全国ジュニア大会準V。170センチ、67キロ。