<高校ラグビー:茗渓学園31-24東福岡>◇3日◇準々決勝◇花園

 ついにヒガシが負けた。東福岡の4連覇の夢は、茗渓学園(茨城)に阻まれた。前半は3トライを奪い24-5とリードするが、後半に茗渓学園の早いパス展開にDFが対応できず、4トライを奪われて逆転負けした。今季から藤田雄一郎監督(40)に代わり、昨年2月の福岡県新人大会決勝で筑紫に敗れてスタートした「負けを知った」チーム。花園での連続負けなしも17で止まった。

 3年以上負けなかったグラウンドに東福岡がひざまずいた。いつもは勝利を告げるノーサイドの笛。この日は、優勝したように大喜びする茗渓学園の選手たちをただ眺めるしかなかった。それでも悔し涙を流さなかったのは王者の意地か。淡々とロッカー室に引き揚げ、淡々と花園を去った。

 「茗渓はいいチームだった。茗渓の力が上だった」。藤田監督は勝者をほめちぎった。前半はFWで圧倒し、相手のミスを誘発して19点のリード。さらに引き離すはずの後半、風向きはがらりと変わった。早いパス展開で左右に振り回され、ヒガシのDFが対応できない。立て続けにトライを奪われ、21分には19点差を失った。さらに終了間際、逆転のチャンスをミスで逃し、逆に取られた。全校の目標「打倒・ヒガシ」の迫力にのみこまれた。

 最強チームは常にターゲットだった。まずは県内で昨年2月、新人大会決勝で筑紫に敗れた。春の選抜大会は制したが、その後も常翔学園などに負けを経験。茗渓学園にも、夏の菅平合宿での練習試合で敗れている。「主将として何もできなかった。どうやってまとめたらいいのか悩んだ」と西内勇二主将(3年)は振り返る。藤田監督に相談すると「おまえが正しいと思うことをやりなさい」と返ってきた。悩みながら引っ張ってきたチームだが「負けを知った」怖さを最後まで引きずっていた。

 尾道との3回戦も、後半ロスタイムまでリードを許し、最後は1点差の薄氷の勝利だった。「あの試合も勝負に勝っただけで、試合では負けている。だから今日は『楽しもう』とみんなに言ったんですが…」と西内主将。しかし、受けに回ってしまうともろかった。闘志むき出しの相手を跳ね返せなかった。「3連覇は先輩たち。プレッシャーはなかった」と言うが、負ける恐怖に縛られた。

 託された偉業を果たせなかった藤田監督も現実を見つめた。「タレントはいたし、強いチームができた。一生懸命やった結果で、向こうが上回った。そう(連覇は)続けられるもんじゃない。また一から。いいものを続けて、またここに帰ってこれたら」。

 いつもより早すぎる福岡への帰還。王座を奪われた挑戦者として「ヒガシ」は再スタートする。【実藤健一】