<高校ラグビー:常翔学園57-0国学院久我山>◇5日◇準決勝◇花園

 Aシード常翔学園(大阪第1)がBシード国学院久我山(東京第1)を破り、17大会ぶり5度目の優勝に王手をかけた。SH登録の高校日本代表候補・重一生(3年)が志願のFB先発。驚がくのステップで相手守備を切り裂き、4トライを演出、1トライを決める大活躍を見せた。「57点差」は花園の準決勝以上では史上最多得点差。大工大高から校名変更後初、17大会ぶり5度目の優勝に王手をかけた。

 重のダンスに花園が揺れる。ステップを1歩切るごとに、国学院久我山の守備陣が崩れていった。

 前半17分。自陣10メートルライン付近でキックを拾い、前に出た。一瞬の突破とステップで相手を引きつけ、フォローの仲間にパス。WTB松井のトライを呼んだ。

 前半22分には、自陣22メートルライン付近でこぼれ球を拾う。3人、4人、5人…。自分めがけて突っ込む相手をステップでかわす。ハーフラインを越え、周囲を引きつけるだけ引きつけ、左背後からフォローに来たWTB坂本にパス。最後はCTB中西が飛び込んだ。

 演出したトライは4本。後半は“現本職”のSHに入り、50メートル独走トライも決めた。重と同じ吹田RSでCTBだったFL伊坂が言う。

 「人間っぽくないステップ。切る時、完全に止まる。空中でも止まる感じ」

 昔はいかに相手をかわすか考えて、自然にステップを踏んでいた。中学の時、スクールに指導に来た野上友一監督(54)に「ええか。100から0で、0から100や。緩急や」と教わった。

 花園の準決勝連敗を「6」で止めた。しかも57-0と記録的大勝だ。野上監督の表情も緩む。「選手には『先手取って、攻めて攻めて攻めまくれ』と言いました。本当に理想的です」。

 今大会開幕2日前、OBで日本代表歴代最多キャップ数を誇る元木由記雄氏から激励を受けた。「どうせなら大工大高、常翔史上最強を目指せ!」。現校名初、17大会ぶりの頂点へ。高校日本代表候補7人を擁する才能集団が文句なしの王手をかけた。【加藤裕一】

 ◆準決勝以降の最大得点差

 この日の準決勝で常翔学園が国学院久我山を57-0で下した。この「57」点差は、大会史上準決勝以降では最大の得点差となった。従来の記録は、2009年度の第89回大会の準決勝で東福岡が京都成章を67-12で破った「55」点差だった。