ソチ五輪王者の新シーズンが幕を開けた。今季初戦を迎えた羽生結弦(20=ANA)が、SPで93・14点をマークして首位発進。後半に配した4回転ジャンプの着氷が乱れたが、シニア参戦後の初戦としては、6季目で最も高得点で滑り出した。
射抜くような視線でシーズン最初の滑りを終えた。フィニッシュポーズで両手を広げ、羽生は険しい表情をしばし崩さなかった。「後半(の4回転は大変)という固定概念に縛られている。考えなくてはいけないことを絞り切れていない」。演技中は整理できなかった頭を、演技を終えて整理していた。自然と眉間にしわが寄った。
2季目となるショパンの「バラード第1番」。昨季は初戦の中国杯で衝突事故に見舞われ、体調面から演技構成に制約があった。本来、計画していた後半の4回転トーループは断念。「宿題」に答える形だが、回答の導き方が羽生らしい。
疲れが出る終盤はジャンプの基礎点が1・1倍になるが、失敗のリスクもある。というのが、フィギュア界の常識。羽生はその「固定観念」自体に挑戦している。この日の4回転ジャンプは回転不足となって体勢を崩したが、問題は技術ではなく、心構え。その準備が間に合わなかった。
一方、昨季目指したレベルに満足しないのも羽生らしい。ジャンプ以外の要素にも細かい難易度アップが施されている。例えば、4回転前のコース取りも、踏み切り直前のターンも1回多い。単調なピアノ曲から、大技以外でどんな表現をするかも課題となる。
2季連続のSPは、12~13年シーズンから使用した「パリの散歩道」がある。エレキギターが響く独自演技は、2季目のソチ五輪で歴代最高点の101・45点を出すまで仕上げた。それでは、初戦の自身最高点となった2季目の「バラード第1番」は? 「1回(4回転を)降りてしまえば怖さはなくなる。どんどん挑戦していきたい」。宿題には、満点以上の答えを出す。


