女子5000メートルで藤村祥子(28=美十)が7分13秒70で優勝した。氷上練習では手を前に合わせるラグビー日本代表の「五郎丸ポーズ」をしながら滑り集中し、初のタイトルを手にした。

 またまた崖っぷちからはい上がった。藤村は前日の3000メートルで7位に終わりW杯前半戦代表入りへ後がなかったが、最終種目でしっかり結果を出し、同代表を確保した。14年ソチ五輪シーズンもW杯前半戦代表を逃しながら12月の五輪代表選考会で2冠を達成し、逆転で五輪代表入りした。「私、後がなくなってからが強いんです。想定よりもタイムは遅かったが、勝てて良かった」と満足した。

 「五郎丸ポーズ」で集中力を研ぎ澄ます。約5年前から氷上練習の1周目は必ず心と体のバランスを整えるため、両手を前に合わせて滑る。数メートル手を前にして滑る他選手もいるが、まるまる1周滑る独特のルーティンはひときわ、目を引いている。「重心の位置を確認したりして調整してから滑るようにしている。やらずには滑られないくらい」とはにかむ。

 今季から和菓子で有名な八つ橋「おたべ」などを製造販売する「美十」(本社京都)に所属する。18年平昌五輪へ、大きな力を得てさらなる飛躍を期す。「このタイムでは世界と戦えない。平昌は出るだけではだめ。結果を出して恩返ししたい」と、世界を魅了した五郎丸ばりの活躍を誓う。【松末守司】