20歳の新星、第2シードの高橋悠介(三菱電機)が、大会史上4番目の若さで初優勝を遂げた。

 第5シードで14年覇者の江原弘泰(26=日清紡ホールディングス)を0-6、6-4、7-5の逆転フルセットで下した。「名前のある大会で優勝できて誇りに思う。本当にうれしい」。

 第1セットは「少し緊張した。相手も素晴らしいプレーだった」。足が動かず、スタートから一気に7ゲームを連続で失った。江原の緩急を織り交ぜた、切った張ったのプレーに手を焼き、得意の強打でミスを連発。しかし、第2セット第2ゲームで、1ゲームを初めて奪い落ち着いた。「このまま終わったらもったいない。楽しんでプレーしよう」と気持ちを切り替えリラックスした。

 最終セットも3-0から追いつかれたが、17日に20歳になったばかりの若さとパワーで、「最後まで戦い抜こうと」、江原を振り切った。マッチポイントが決まると、両手を突き上げ、ラケットを放り投げた。

 会場の有明コロシアムおよび有明テニスの森公園は、東京五輪のテニス競技会場だ。テニスの公式戦としては、今大会を最後に、11月末から改修工事に入る。現在の有明コロシアムで行われる最後の全日本で、東京五輪の星が王者についた。

 20歳12日での優勝は、17歳9カ月で優勝した89年谷沢英彦、18歳で優勝した16年綿貫陽介、20歳9日で優勝した96年鈴木貴男に次ぐ4番目の若さ。