日本のエース、錦織圭(28=日清食品)が、23日に発表された最新世界ランキングで36位から22位に浮上した。22日の決勝で、大会11度目の優勝を飾った世界1位のナダル(スペイン)に3-6、2-6で敗れた。優勝は逃したが世界3、4位を撃破し、マスターズ大会では16年ロジャーズ・カップ以来の決勝進出で、世界ランクとともに完全復活に向け大きく前進した。この日開幕のバルセロナ・オープンにも出場予定だ。

 世界ランキング10位台復帰も目の前に迫った。錦織は不足している試合勘を補うために、12年以来6年ぶりに出場したモンテカルロ大会で快進撃。赤土最強のナダルに敗れたが、「ほとんどトップの位置に戻ってきた」と、試合勘どころか、すでに4位時代と同じレベルでのプレーを取り戻しつつある。

 赤土では、ナダルだけ異次元にいる。パワーと跳ね上がる強烈なスピンで、身長で7センチ小柄な錦織は打点で常に体が伸び上がり、パワーを球に伝えられない。加えて、決勝までナダルの倍の128ゲームを戦った疲労により「最後はエネルギーが残っていなかった」。

 いくら赤土が得意とはいえ、右手首のけがから復帰して、まだ3カ月だ。その中で、球足が遅く、ラリーが長引くタフな赤土のマスターズで準優勝したのは見事だ。「けがをしてから、こうやってマスターズ決勝に戻れた。自信は大きい」。

 マスターズ4度目の決勝進出で、念願の初優勝はまた持ち越しとなった。4回の決勝の相手は、ナダルとジョコビッチ(セルビア)。すべて、両者が世界1位だった時だ。その厚い壁を破るのは並大抵なことではない。この日も「他の選手と比べものにならないほどタフ」と、ナダルの軍門に下った。

 5月27日からは赤土最高峰の全仏オープン(パリ)が開幕する。そこに向け、赤土3大会に出場予定だ。まずは開幕したバルセロナ・オープンで、順当にいけば3回戦でナダルとの再戦が待ち受ける。「また挑戦したい」という機会は、すぐに巡ってくる。そして、今度は雪辱だ。