「名門」が復活の兆しを見せた。東海大が6年連続10度目の優勝を狙った山梨学院大を3-0で下し、12年ぶり5度目の優勝を果たした。

優勝が決まった瞬間、それまで険しい表情で試合を見守っていた04年アテネ・オリンピック(五輪)女子78キロ超級金メダルの塚田真希監督(37)が笑みを浮かべた。円陣を組んで涙しながら喜ぶ選手たちを見て「感無量の一言。(指導者になり)現役時代の優勝とはまた違う喜びで、チームが1つになれた結果だと思う。選手たちがよくやってくれた」と目を赤くした。

塚田氏は女子柔道部の再建を託されて、16年11月に監督に就任。地区大会も含めて今大会が就任後、初タイトルとなった。選手とは柔道との向き合い方について真剣に話し合い、「戦う集団」へと変革した。同大会過去最多23度の優勝を誇り、数多くの五輪メダリストを輩出する男子柔道部と比較される中、5カ年計画で日本一になれるチーム作りを目指した。

「正直、男子が勝って喜んでいるようではいけないと思った。選手に『男子は男子』『自分たちは勝ちたくないのか』などと言ってきた。素材が良い選手ばかりなので、技術も大事だがそれ以上に勝負へ意識が重要だと思った」

塚田氏は現役時代に五輪、世界選手権、全日本女子選手権を制して3冠王に輝いた。厳しい勝負の世界を知っているからこそ、勝利への執念を伝えたかったという。監督就任3年目で日本一となり、2年前倒しで目標達成したが、あくまでも東海大女子柔道部は「挑戦者」と強調する。「『2連覇を目指す』とは言わないし、目の前の試合を1つ1つやるだけ。優勝したことで勝ち続ける厳しさも知ると思うし、ここからが本当の勝負だと思う」と気を引き締め、次戦を見据えた。

今夏の世界選手権(8月25日開幕、日本武道館)78キロ超級代表の素根輝(そね・あきら 18)擁する環太平洋大は、準決勝で東海大に敗れて3位。女子3人制は決勝で明治国際医療大が東女体大を2-0で破り、初制覇した。