近大が逆転勝利で3勝3敗として4位に浮上し、2012年度以来7大会ぶりの全国大学選手権出場へ望みをつないだ。

前半を7-17の劣勢で折り返したが、後半に3連続トライで逆転。負ければ対戦相手の関学大の同選手権出場が決まっていた瀬戸際で、執念のプレーを見せた。

近大は19年度の推薦入試を含む総志願者数は約20万9000人で過去最高を更新した。近大マグロなど話題も多い。そこに最近では近大がスポンサーとなった民放テレビの天気予報が流れている。CMの映像にはいろんな近大の学生が登場するが、その中に近大ブルーのユニホームを着用した本物のラグビー部員もいる。

今年5月の収録でCMに出演したラグビー部の穴井貴之(4年)は、部内では控え組でこの日もスタンドから必死に応援した。CM効果について「他のアメフトやラクロス、バレー、ゴルフ部員と近大ブルーのユニホームを着て出演したが、体育会全体の団結力が生まれた」と、いい意味でのライバル心を強調する。

例えばゴルフ部は10月下旬から行われた信夫杯争奪日本大学対抗戦に出場。アメフト部も事実上、国内最高レベルを誇る関西学生リーグで1部の中位校を目指している。ラグビー部も関西大学リーグで優勝こそないが、この10年は1部(Aリーグ)に定着。4連覇した天理大の力が抜けているが、その次のグループに入ろうとしている。まさに切磋琢磨(せっさたくま)の関係にある。

この日の後半40分間はラグビー部の歴史に残るかもしれない、気迫を前面に押し出した内容だった。特に後半残り10分ほどは自陣で絶体絶命の失点危機を乗り越え、逆にロスタイムにはカウンターからダメ押し点を奪うドラマがあった。中島茂総監督(72)は「あれができるんだったら、前半からしてほしかった」と苦笑いするほどだ。

30日の最終戦は摂南大と対戦する。今季から全国大学選手権の関西枠は1つ増えて4つになった。他チームの結果に左右されるとはいえ、全国切符の可能性はある。プロップ紙森陽太(2年)は「今日の後半はみんなの闘志が出た。最終戦はまず、しっかり勝ちきること」と意気込む。CM効果に乗る近大が、再びドラマを起こすかもしれない。【横田和幸】