近鉄の“圧力鍋ホットライン”が、いきなり結果を残した。

12点リードの前半29分、元オーストラリア代表のSOクエイド・クーパー(32)が左サイドへ攻撃。相手のタックルを受けながら片手でボールを離すと、狭いスペースにWTB片岡涼亮(23)が走り込んだ。立命大出身で公式戦デビューを飾った片岡は、記念すべき初トライ。後半6分に2トライ目を挙げ「ロッカールームでクエイドが声をかけてくれて、リラックスさせてくれた」とほほえんだ。

入社1年目の片岡はクーパーのことを「パパ」と呼び、世界的SOからは親しみを込めて英語で「息子」と呼ばれる。昨春の入社後に寮生活を始めた片岡は「優しいんです。『炊飯器がない』という話をしていたら(圧力鍋を)くれました」。クーパーも「圧力鍋の写真を見せたら『いる!』って言うから、あげました。今は(新型コロナウイルス対策で)難しいけれど、今後は一緒にごはんも食べたいと思っています」と語るなど、ラグビーに貪欲な姿勢を高く評価している。

トップリーグ(TL)2部相当のTCLは今季、上位4チームがTL16チームとのプレーオフに進む。成績は来年1月開幕予定の新リーグ(3部制)の振り分けで参考となり、近鉄の目標は「トップ8」。片岡は満足することなく言った。

「個人的には2トライを取れたのですが、全てアシストをしてもらった形。FWが頑張ってくれて、最後に外が空いたところでパスをもらえました。今度はもっとトライを量産して、BKがFWを助けられるように頑張りたいと思います」

次節は28日の栗田工業戦(東京・秩父宮ラグビー場)。さらに強固な関係性を築いていく。【松本航】