16年冬季ユース五輪(オリンピック)金メダルの山本草太(22=中京大)が94・12点で首位発進した。

2季連続のプログラム「イエスタデイ」。冒頭の4回転トーループ-3回転トーループから、続く4回転サルコー、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)まで全て決めた。

しかし、満足していなかった。「とりあえず、まとめることはできたんですけど、目標としている100点には少し届かなかったので。悔しい気持ち。目標の点数を見据えながら次の試合に向けて練習を頑張っていきたい」と振り返った。

優勝した8月のげんさんサマー杯では95・15点。高い得点ではあるが、大台に到達しなかったことを反省し「まとめにいってしまった。ステップのクラスター(片足でのターン3種類の組み合わせ)がちょっとだけ浅かったかな、とか、スピンも回転が足りないから加点がなかったのかな、とか、プロトコルを見て反省していきたい」と細部に目を向けた。

言葉通り、最後のスピンがレベル2となったが、そこが伸びしろとなる。「シーズンが進むにつれて100点に近づければ。ジャンプ、スピン、ステップ、全てにおいて完璧な演技を目指したい。ただ、昨季のSPは4回転1本で90点を目指していて、今は2本で100点を狙っている。比べるとレベルが上がっている実感はある」とも語った。

一方で、故障を抱えていたことも明らかにした。

「(4回転の)フリップとルッツを練習していて、右の中足骨を痛めてしまって。でもケアとトレーニングを継続しながら、治すというより成長につながるシーズンにしたい」

ルッツについては「8月くらいから練習を始めました。高校生の時に1回、挑戦してみたこともあったんですけど、当時は回転が全然で。でも、久しぶりに本格的にやってみたら、真っすぐした軸で上がれる感覚があった。練習しつつ、とりあえず今季はフリップ中心に。将来的にはいろいろなジャンプを跳んでいきたい」と、さらなる成長のストーリーも描いていた。

挑戦が心身を充実させている。「今は本当にスケートが楽しいです。練習はしんどいんですけど、本番でいい演技をしたいから練習する、という気持ち。最近は苦しいという感覚はなくて、ただただ自分が成長したいという思いで過ごせているのかな。高難度ジャンプの練習で着氷する右足を痛めてしまうのも、通る道ですし。少しのけがは宿命だと思っているので、明日(フリー)はしっかりフリップに挑みたい」と充実感をにじませた。【木下淳】