7年越しの首位発進だ。

山本草太(22=中京大)が92・42点をマークし、GPシリーズ6戦目で初のトップの座を射止めた。

「なんとか全部着氷できたし、スピンステップもすべてレベル4をそろえられたので、全体的に良い演技が出来たのではないかなというのでガッツポーズしました」。

冒頭の4トーループの4回転-3回転の連続ジャンプは「4回転3回転はイメージ通りに体を持っていけた」と、3・12点の加点を引き出した。続く4回転サルコーはわずかな回転不足を取られたが、後半のトリプルアクセル(3回転半)も決め、スピン、ステップシークエンスでは最高難度のレベル4をそろえた。

プログラムの「イエスタデイ」は昨季から継続を選んだ。

「演技をするっていうよりも、自分の人生というか、そういったものを感じながら、表現できる」。

突然亡くした母への愛を歌う歌詞、その旋律に自分のスケート人生が重なる。

6年前の3月、世界ジュニアへ旅立つ直前に負った右足首の骨折。長期間の離脱をへて、16ー17年のシニア初年度を迎えた。その時にGPシリーズの初戦として出場予定だったのがフランス杯だった。ただ、その直前に再び同箇所を痛め、手術。GPデビューはかなわなかった。

長期離脱の後に、いまは26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を目指している。「人生を表す」。そんな気持ちを込めるSPを、フランスの地で披露出来たことも感慨深い。

5日(日本時間6日)のフリーへ。

「ショートよりもフリーの方が重点的に練習してきた。練習の成果が出る場と思うので、それをしっかり感じながら演技できたら」。

1つ1つの演技が、また山本のスケート人生に連なっていく。(アンジェ=松本愛香通信員)