アメリカンフットボールの最高峰NFLに最も近い日本人と言われたWR木下典明(40)が3日、今季限りで現役引退することを自身のSNSで報告した。

「2022年シーズンをもちまして、35年間続けたアメリカンフットボールの選手を引退いたします。オービックシーガルズで在籍12年間 色々な方と出会い、色々な経験をさせて頂きました。木下典明の人生全てがアメリカンフットボールです。今後も自分の経験を色々な場所に広げて行きたいと思います。」(原文まま)

大阪・大産大付属高時代の99、00年に高校日本一。立命館大では2年時の02年に甲子園ボウルで早稲田大を破ると、そこから04年まで3連覇した。社会人と日本一を争うライスボウルも02、03年に2連覇するなど一時代を築いた。

大学卒業後は国内の実業団に進まず、登竜門のNFL欧州へ。アムステルダム・アドミラルズに所属し、40ヤード走4秒4の快足を武器に06、07年のベストリターナー賞に輝いた。

活躍が評価されて07、08年にはNFLのアトランタ・ファルコンズに帯同。最終選考で落選したものの、野球の大リーグ、バスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLと合わせた米国の4大スポーツで唯一、日本人が未到のNFLに最も近づいた瞬間となった。

11年から日本の社会人Xリーグへ。オービック・シーガルズでライスボウル4連覇などに貢献し、15年の世界選手権では日本代表の主将を務めた。36歳で迎えた19年の春季パールボウルでもチームを3連覇に導いてMVPに選ばれるなど、衰えぬ実力で日本のアメリカンフットボール界をけん引したレシーバーだった。

かなえられなかった日本初のNFLプレーヤーという夢は、後進に託される。【木下淳】