初出場となる山本草太(23=中京大)が、ようやくたどり着いた舞台の雰囲気を全身で味わっていた。

「シニアに上がってから目標にしていた舞台。すごく時間はかかってしまったんですけど、こられたことがまずうれしく思っています」。

喜びを表すように、練習でも伸びやかだった。曲かけ練習では、ショートプログラムを流し、トーループ、サルコーの2本の4回転ジャンプを降りきった。

シニアに上がる直前、16年に右足首を骨折。世界の最前線で戦っていたジュニア期のように、再び輝ける日を地道に目指してきた。7季目。飛躍のシーズンを迎え、その終幕が訪れた。

「代表に決まってから、1つ1つの練習が、この世界選手権に向けてだけではなくて、これからのスケート人生の成長にもつながるような、そんな時間だった。また自分の成長につながる。そんな試合にできたらなって」。

結果は念頭にはない。それは今まで通り。1つの結果に一喜一憂をしていたら、復活の道は開けなかっただろう。注力するものは、外部の評価ではなく、自分の中にある。

「自分の演技というものを、これまでの過去の試合も含めて、全ての経験を、この最後のシーズンの締めくくりに発揮できたらな」。

爽やかな笑みに静かな高ぶりを混じらせ、初の大舞台に臨む。