パリへの切符はつかめなかった。世界ランキング8位の女子日本代表が、今大会での五輪出場権獲得を逃した。5勝1敗で並んでいた同4位ブラジルとの最終戦にフルセットで敗戦。プールBで3位となり、2位までに与えられる来夏のパリ五輪切符にあと1歩届かなかった。五輪出場枠は12で、開催国枠に加え、今大会でプールBのトルコ、ブラジルを含め、各プール上位2カ国計6カ国が決定。日本は残る5枠入りに向け、来年6月のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時までの世界ランキング上昇を目指す。

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バレー強国ブラジルを追い詰めた。それでも勝ち切れなかった。真鍋政義監督(60)は「数字的には紙一重。でも終盤の勝負どころの点数がかなり違う。ここが世界のトップチームの壁かな」と、メンタル面の課題を挙げた。大会前にも懸念していた勝負どころで経験の差が、如実に出た。平均年齢25歳と世界的に若いチーム。第3セット、25-24とセットポイントを握りながらあと1点を奪えず、逆に3連続失点で失った。最終5セットはアウトと判断して見送った相手のサーブがエースになるなど、ここぞで経験値の違いが出た。

世界トップのサーブに対し、効果的な攻撃につなげられなかったことも課題になった。23日の世界ランク1位トルコ戦では、サーブレシーブでセッターの定位置、またはその1~3メートルの範囲内に返球されなかったレシーブ本数が、相手の2本に比べ、8本と差が際立った。高さやパワーを粘り強いつなぎでカバーしてきたチームだけに、真鍋監督は「そこだけは勝っておかないと勝てない」と言った。

それでも重点強化してきた戦術的サーブは効果を発揮した。長短を使い分けてコースを突き、上位国の守備陣を翻弄(ほんろう)。この日のサービスエースはブラジルの4本の倍、8本をマークした。そしてエースと呼ばれる選手たちをブロックにかけ、渡り合える実力も示した。パリへ向け、もう一段階成長するためにこの敗戦を生かす。【勝部晃多】

 

◆ブラジル戦VTR 第1Sを失って迎えた第2S。1-1から古賀が強烈なスパイクを決めると一気に7連続得点で先行し、25-22で追いついた。第3Sは2度のセットポイントを奪ったものの、最後は3連続失点で失った。後がなくなった第4Sは、今大会初めてスタートから古賀をベンチに。石川を攻撃の軸に据えて総力戦を挑み、25-15で取ってタイに。先行された最終Sも1度は10-10と追いつく意地を見せたが、粘り切れずに押し切られた。

 

◆パリ五輪への道 パリ五輪の出場枠は、開催国フランスを含めて12カ国・地域。今回のW杯は世界ランキング上位24カ国が8チームずつ3組に分かれて、総当たりで対戦した。女子は中国(プールA)日本(B)ポーランド(C)で開催され、男子はブラジル(A)日本(B)中国(C)で30日に開幕する。男女とも各組上位2カ国の計6カ国ずつが出場権を獲得。女子日本代表は、この7枠に入れなかった。残る5枠は来年5月に始まるネーションズリーグ(VNL)の予選ラウンド終了時(6月17日時点)の世界ランキングで決定する。まず、今回の五輪予選で出場枠を獲得できなかったアジア・オセアニアとアフリカの最上位1枠ずつが最優先される。その後、最終の切符3枚をそれ以外のランキング全体上位3チームが手にする。

日本はVNLに出てポイントを重ね、よりランキングを上位へ上げることが必要になった。世界ランクは毎試合変動し、25日時点ではブラジルに負けて8位から9位に後退。1試合1試合、気の抜けない戦いが火の鳥NIPPONを待つことになった。

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