ラグビーの大学選手権で10大会ぶりの日本一を狙う早大(関東対抗戦1位、2位枠)の「厳格な寮長」こと大型WTBの桑山聖生(としき、4年)が、チームの好調を支えている。

29日夜、都内のグラウンドで練習を終えた選手は目の前の寮へと戻った。寮の入り口にはスリッパがきれいに並べられていた。桑山は「私生活の整理整頓がラグビーの規律を守る意識につながると思う。だらしのない生活はプレーにも影響するし、いざという時に相手に隙を見せる可能性もある」と淡々と説明した。

今春、相良新体制となって寮長に任命された。きちょうめんな桑山は、清掃や荷物整理、電気の消し忘れなどに日々目を光らせる。仲間からは「桑山チェック」と恐れられ、自身でも「ちょっと厳しいけど、注意して改善されるならやる。今は4年間で最もきれいな寮だと思う」と胸を張った。フランカーの佐藤真吾主将(4年)も「寮長がしっかりしていると部も引き締まる。日々のきちんとした生活が、勝利につながっていると思う。桑山には感謝している」と話した。

鹿児島県出身。小4でラグビーを始めた。中学では陸上部に所属し、110メートル障害や四種競技などで全国大会に出場した。当時から「早大進学」と「オリンピック(五輪)出場」の2つの夢を持っていた。陸上で五輪出場を目指していた高校進学時、鹿児島実の富田監督から「力強い走りは日本ラグビーの宝になる」と熱心な誘いを受けた。「掛け持ちでも良いなら」と、同校入学直後は“二刀流”で取り組んだ。しかし、高1の冬に出場した年代別7人制の国際大会で世界との差を実感し「なあなあでやってもダメだ」とラグビー一本に絞った。俊足を生かしたボールキャリーを武器に、高3の時には7人制日本代表に選出された。

早大入学後は、肉体強化に励んだ。184センチ、95キロ。陸上で鍛え上げた丸太のような太ももはひときわ目を引く。しかし、部員100人超の一流選手が集う伝統校でのレギュラー争いは厳しく、最近は試合に出場できない苦しい日々が続く。明大(同3位、4位枠)との大学選手権準決勝(1月2日、秩父宮)に向けての練習が続くが「常に高いレベルが求められるのは当然。コンディションも良い。大学生活最後の試合となるので、最後までしっかりとアピールしたい」と気合を入れた。

「早大進学」の夢がかない、もう1つの夢である7人制で20年東京五輪を目指す。「名前にも(聖火の)『聖』がついているし、五輪には不思議と縁を感じる。ただ、今は夢よりも目の前のことに集中して、区切りがついたら次のステップについて考えたい」。創部100周年のメモリアル優勝まであと2勝。22歳の薩摩隼人(はやと)は、最後まで走り続ける。【峯岸佑樹】