本来なら晴れの新入幕の記者会見を開いているはずだった魁聖と栃乃若は28日の朝稽古後、報道陣に心境を語った。

 魁聖は東京都墨田区の友綱部屋で黙々と四股を踏み、ぶつかり稽古をこなした。春場所が中止となり、番付が出ないことに「残念な気持ち」とがっくりした様子。十両昇進時から番付表を故郷の家族らに送っていたが「今回は送れないですね」と伏し目がちに話した。

 八百長問題には「びっくりした」と言い、家族も心配していたという。ブラジル出身初の幕内力士として春場所で勝ち越し、故郷に凱旋(がいせん)するという目標も消え「次の場所を待ちます。3月は稽古するしかないですね」と表情はさえなかった。

 元高校横綱の栃乃若は同区の春日野部屋で、番付に代わる「順席」で自身がしっかりと幕内に記されていることを確認すると「うれしいです」と喜びを口にした。

 兵庫県出身で“地元場所”だった春場所の中止に「もう決まったことなので気にしてもしょうがない」と話した。それでも「攻めて攻めて相手を圧倒できる力士になりたい」と、場所再開に向けて気持ちを切り替えた。