追手風親方(43=元前頭大翔山)が、部屋所属でまげを結う床山(23)に春場所後の3月下旬に暴行し、複数の力士にも指示して暴行をさせていたことが25日、分かった。日本相撲協会は同日、名古屋場所を開催中の愛知県体育館で理事会を開くなど対応し、今後同親方に処分が下される可能性が出てきた。

 同親方によると、既に日本相撲協会を退職した床山は数年前から新弟子ら数人に何度も暴力を振るっていたという。同親方は「何度もやめるように注意して、クビにしようと思ったが、本人が仕事を続けたいというので反省させるために殴った。(床山から暴力を受けていた)5、6人の力士にも殴らせた。暴力は悪いことだが、それで過去の(床山の)行為を水に流すつもりだった」と説明。だが、同親方は、1人の力士が力を入れず床山をたたいた際に「ちゃんとやれ。やらないとお前をやるぞ」と脅迫的な発言もしていた。

 問題発生後、床山の親族らは同親方に刑事告訴を示唆。これらの情報を把握した日本相撲協会の生活指導部特別委員会は、22日に同親方を事情聴取。「再度、親族側と話して報告するように」と指示した。27日にも追手風親方が元床山と面会予定で、同委員会ではこの報告を待って対応を協議する意向だ。

 角界では2年前に時津風部屋の力士暴行死事件が起き、協会が昨夏、一切の暴行を禁止するなどの再発防止策をまとめていた。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「まずは報告を待つが、あってはならないことで遺憾だ」と話している。