八百長問題の解明に取り組む日本相撲協会の特別調査委員会が21日、東京・両国国技館で3時間も議論を重ねた。疑惑が浮上した14人中4人が携帯電話を提出していないことを問題視。伊藤滋座長(79=早大特命教授)は、逃げ切りは許さない姿勢を示した。今日22日の理事会で、提出を促す提案がなされる方針が固まった。

 会議は午後9時半すぎに終わった。帰り際、伊藤座長は「携帯が大変なんだな。どういう風に扱うか、延々とやっていた」と切り出した。携帯メールなどから、14人に八百長疑惑が浮上。任意で携帯電話の提出を求めたが、3人が壊れたものを出し、1人は紛失、残る3人はいまだに渋っている。この状況を打破するために、議論が続いた。

 「正直者がばかをみることはやめようということ。ずるがしこいやつを許しちゃいけない。調査に影響しているし、頭にくる」と伊藤座長。14人中、八百長関与を認めているのは3人。事情聴取をしても、新事実が出てこない。山本委員は「何も答えない人がいる。率先して言った人より、ウソをついた人がぬくぬくしている状況はなくしたい」と説明した。

 警察の捜査でないため、携帯電話の提出を強制はできない。提出されたものは随時、民間の調査会社に解析を依頼する。未提出分を放置すると、公平な処分ができなくなる。山本委員は「(進展は)予想より悪いかも。個人情報とかあるので、難航です」と漏らした。昨年の野球賭博の際、上申書で申告すれば軽い処分で済ますという約束をほごにされた経験も、力士らの態度を硬直させている。

 調査委からの要望で会議に出席した放駒理事長(元大関魁傑)は「提案したいことがあるから、ということで呼ばれた。(明日の)理事会に提案する。(八百長関与者の)処分はないと思いますよ。(提案内容は)調査を早く進めるため」と言った。村上委員が「八百長があったかなかったかを調べるだけでいいのか」と話すなど、調査委が再発防止に踏み込む可能性も残す。携帯電話なくして、八百長の裏付けは難しく、調査はやや行き詰まってきた。