大相撲の4日の福井巡業中に突然の事故が発生した。巡業部長を務める尾車親方(54=元大関琴風)が会場の小浜市民体育館で倒れ、同市内の病院に救急搬送された。巡業責任者が見舞われたトラブルに、力士らも騒然となった。

 午後2時ごろ、到着した救急車の周りで引率担当の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)ら関係者は、一様に心配顔をしていた。2階の支度部屋で休憩中の横綱白鵬は窓をのぞき「部長が倒れた!」と声を出した。近くの関取衆が立ち上がり、尾車部屋所属の幕内豪風も「大丈夫であってほしい」と祈るように話した。

 尾車親方は会場1階の入り口付近で転倒。ブルーシートが破れてできた段差に足を取られた。その際に首を打ったという。搬送時にも意識はあり、口調もはっきりしていた。ただ「足がしびれて言うことをきかない」と漏らしていた。

 検査の結果、診断は頸髄(けいずい)の損傷。現役時の古傷がある箇所で、ここが悪化した影響で足がしびれたようだ。当初は手術を受けるためヘリコプター搬送も検討された。ただその後は回復傾向が見られたため、親方自らが都内の主治医に電話相談。この日は搬送された病院に入院して様子を見ることになった。退院は未定だが周囲には「大丈夫だ」と話している。

 尾車親方は8日まで行われる残りの春巡業を休場。大山巡業副部長(59=元前頭大飛)が部長代理を務めることになり「初めてなので不安です」と話した。地方巡業は昨年は八百長問題の影響で中止。今月1日の伊勢神宮奉納相撲で、1年半ぶりに再開していた。

 ◆尾車浩一(おぐるま・こういち)本名・中山浩一。1957年(昭32)4月26日、三重県生まれ。佐渡ケ嶽部屋に入門し、優勝2回。関脇を経験後、左膝の大けがを負い、幕下まで落ちた。そこから大関に昇進した苦労人。愛称は「ペコちゃん」。通算561勝352敗102休。殊勲賞1回、敢闘賞2回、技能賞1回、金星6個。85年に引退し、87年3月に独立した。