<大相撲夏場所>◇9日目◇19日◇東京・両国国技館
横綱白鵬(29=宮城野)が東前頭4枚目の遠藤(23)を押し出しで圧倒し、無傷の9連勝を決めた。人気、素質を認めている若手のホープに、あえて厳しい相撲を体感させることで課題を突き付けた。「モンゴル3横綱」初めての場所で、強さの違いを際立たせた。
白鵬は普通に立ち合い、一気に攻めた。遠藤が得意とする左差しは、右腕をくの字に固めて絞りあげた。西の土俵下に控える栃煌山まで自身の体が飛ぶほど、勢いよく走った。「遠藤くんは今のところ、進化を感じていないんじゃないかな」と表現するほど力の差を示した一番。遠藤も支度部屋では悔しさで無言。だが白鵬は「今場所は横綱を倒したり、進化していると思うよ」と認めている上での、わずか2秒3の「授業」だった。
初顔合わせだった春場所は右の張り差しで洗礼を浴びせ、送り倒した。この日の朝、張り差しを警戒する稽古を繰り返した遠藤をあざ笑うかのように、正面から胸を出した。まわしも引かずに決着をつけた。遠藤について「番付上位には力負け。平幕相手なら、うまくさばいている感じ。それが五分五分の星で出ている」と分析。「おっつけとか効いていない。手だけでね。圧力が上回ったってこと」。相撲のうまさを評価しつつ、力磨きの「宿題」を命じた。
北の湖理事長(元横綱)も遠藤が負けた琴奨菊ら力勝負の相手への弱さを指摘。「悪くても勝ち越して、上位にいないと力はつかない」と期待した。遠藤も国技館を出る時には「もう切り替えました」と教訓にすべく、帰路についた。
29度目の優勝を狙う白鵬は「横綱の仕事っていうか、そういう存在でやっていきたいね。彼しかいないからね」。無傷の9連勝を決めた一番で、遠藤の分厚い壁となった。【鎌田直秀】

