<大相撲初場所>◇初日◇11日◇両国国技館

 横綱白鵬(29=宮城野)が、史上単独最多33度目優勝へ白星発進した。小結栃煌山(27)を突き落としで下した。初日では史上最多となる50本の懸賞金を受け取り「ごっつぁんです」と上機嫌。角界の父と仰ぐ大鵬を超える大記録へ、好スタートを切った。

 両手で、がっちり受け取った。初日では史上最多となる上限いっぱいの50本の懸賞金。1袋3万円、計150万円が入った袋の束を手にした白鵬は、拝むように額に近づけた。支度部屋に戻ると「50本ですか?

 ごっつぁんです」と笑みがこぼれた。

 新年最初の一番を、危なげなくこなした。栃煌山の出足を、立ち合いの鋭い踏み込みで受け止める。前に出ることはできなかったが、いなして左に回り込み、突き落とした。「まあ白星スタートで、いい弾みがついたんじゃないかな。相撲内容はね、しっかり動いてね。流れの中でタイミング良く、という感じがしますね」。過去25勝1敗と圧倒していた相手をあっさり片付け、余裕たっぷりに話した。

 50本の懸賞金がかかったのは、11年初場所千秋楽の魁皇戦以来4年ぶり。ファン投票で決まる「森永賞」を除いた上限50本になると、10年春場所千秋楽の日馬富士戦以来。通常なら場所終盤に増える懸賞が、今場所は初日からいきなりフィーバー状態だ。

 「みなさんの期待を感じますね」と白鵬。昨年九州場所でV32を達成して大鵬に並び、今年は史上単独最多33度目優勝を狙う年になる。大記録を目前にしても、自然体でいられるのが白鵬の強さ。「人間、どこか無理すると、落とし穴がある。逆に受けすぎても、失敗する。その中間、バランスを持ちながら夢を追いかけていけば、必ずいい結果が出るんじゃないかな」と、サラリと語る。

 15年はひつじ年。この日、白鵬翔の「翔」にも羊の字が入っていると振られた横綱は、自ら両腕を広げるポーズを取った。前人未到の地へ、まずは勢い良く羽ばたいた。【木村有三】