大相撲初場所で史上最多33度目優勝を全勝で飾った横綱白鵬(29=宮城野)が26日、審判部を痛烈批判した。東京都墨田区の宮城野部屋で行われた一夜明け会見で、取り直しになった13日目の稀勢の里戦について言及。納得いかない様子で「子供が見ても分かる。なぜ取り直しになったのか。2度とないようにやってもらいたい」などと、異例の注文を付けた。

 白鵬の審判部批判を受けて、北の湖理事長(元横綱)ら協会側は苦言を呈した。東京・両国国技館で開かれた横綱審議委員会に出席。白鵬の発言を直接聞いていないと断りを入れてから「審判は5人で見ている。ビデオ室で外からも見ている。そういうことを踏まえて、考えて発言しないといけない。横綱はそういう相撲を取ったら『もう一丁、来い』という気持ちでやらないといけない」と自覚を促した。

 北の湖理事長は当時、テレビでさまざまな角度から流れる映像を見て「同体だな」と思ったという。「子どもが見ても分かる相撲」との発言にも「難しい判定。簡単なものじゃない」とばっさり。白鵬本人に直接、注意する考えは否定したものの「師匠に通告します。はっきり言わないといけない」と、宮城野親方(元前頭竹葉山)に指導するよう伝える方針を示した。

 横審でも大鵬を超える優勝33度目の偉業をたたえる一方で、この日の発言や、千秋楽で入場が遅れて取組中に入ったことに「横綱らしからぬ態度だ」と批判的な意見が上がったという。普段は温厚な内山斉委員長も「良くない。審判は、スポーツの世界で厳正なもの。批判することは、自分の未熟さをさらけ出している。反省すべきは横綱本人です」と厳しく断罪した。

 北の湖理事長は最後に「横綱らしくあってほしい」と望んだ。現役横綱から飛び出した、思わぬ不規則発言。せっかくの祝福ムードが、吹き飛んだ。