<東京6大学野球:法大5-3明大>◇23日◇第7週初日◇神宮

 法大が延長10回5-3で明大を破り、6季ぶりの優勝へ王手をかけた。8回1死から登板したルーキー三嶋一輝投手(1年=福岡工)が2回2/3を無安打4奪三振0封。打っては延長10回2死二、三塁からリーグ戦初打席で決勝の2点適時内野安打を放った。最速153キロでリーグ通算2勝目。明大はエース野村祐輔投手(2年=広陵)が完封目前の8回に3失点。逆転Vへは優勝決定戦を含めて3連勝しかなくなった。

 法大の1年生三嶋はバットを振った直後に悔やんでいた。「アーッと思いました」。10回2死二、三塁。打ち損じた打球は大きく弾んで、投手左に転がった。「一生懸命走ったら歓声が聞こえてきたんで」。遊撃手がバウンドを合わせられず、記録は安打になって2者が生還した。初打席の、その初球を振ったら王手をかける一打になった。

 スイッチヒッター。右投手にも「右の振りがいい」と右打席に入ったが、本業は投手だ。同点の8回1死で登板し、いきなりの見逃し三振は153キロを計測した。8人から4三振。「球自体はいいと思いました。最速?

 高校では147キロです」。34球を投げ、うち11球が150キロを超えた。

 昨春の九州大会の優勝投手だ。2回戦ではセンバツ優勝の沖縄尚学に4-3で競り勝った。今、注目を集める亜大・東浜巨(ひがしはま・なお)投手は登板しなかった。「見たことはあるけど、しゃべったことはないんです。ライバル意識はあります」と話した。その大会後に腰を痛め、夏は福岡大会5回戦で敗れた。故障もあってプロは断念、大学進学に切りかえた。

 「故障して腹筋や体幹の強化をしたんです。それが球速につながったみたいです」。金光興二監督(53)は「度胸がすわっているし安定感がある。うちのラッキーボーイですね」と三嶋を評した。その頼もしいルーキーは「全員で勝ったと思います」と、謙虚に王手をかけた自身の2勝目を喜んだ。【米谷輝昭】