学校の運動部活動の在り方に関するガイドラインづくりを進めるスポーツ庁の検討会議は23日、「中学校では週2日以上の休養日を設ける」としてきた活動時間の目安について、高校も対象として盛り込むことを了承した。1月公表の骨子案では高校は対象外としつつ「基準の準用を期待する」にとどめていた。ガイドラインは3月にも正式にまとまる見込みだ。

 とはいえ、すべての中学、高校で一律に目安を定めるのは簡単ではない。会議に出席した委員の小宮山悟氏(52=日刊スポーツ評論家)は「子供がどう思っているかをまず考えてください」と言った。スポーツ医科学の観点から活動時間は「学期中は週休2日以上で、1日の活動は平日2時間、休日は3時間程度まで」が基本となる。それ以上練習をしたいという生徒の「うまくなりたい思い」を認めるのか。認めないのか。難しいところだ。

 生徒を故障から守るためにガイドラインを作成するのは素晴らしいこと。ただ学校ごと、種目ごとで状況は違う。「練習を2時間に定めれば、部員20人のクラブは運営できても、200人のクラブは全員が満足いく練習ができなくなる可能性がある」と小宮山氏は指摘する。そうなれば本来、楽しいはずの部活がそうではなくなってしまう。

 結局、国がガイドラインを作っても、高野連など各競技団体が変わらなければ生徒にとって理想的なスポーツ環境にはならないのではないか。例えばダルビッシュ有投手(カブス)が言うように、高校野球の投手には球数制限が絶対に必要だと思うが、国は競技団体の頭越しにそのような類いの指示はできない。

 また、高校野球の各都道府県などの予選では3桁の失点で負けるような学校もある。それでは野球の魅力を味わうことはできない。小宮山氏は「レベル分けして県の中でAチームだけが集まる大会、Bチームの大会みたいにすれば、同じレベルのチームで競い合える。野球を楽しむ図式が出来る」と言う。各競技団体の知恵の出しどころではないだろうか。今回のガイドライン作成によって、関係者がいま1度深く考えるようになれば、中高生のスポーツ環境も改善されるかもしれない。【千葉修宏】