元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。18回目は「オールスターゲームの見どころ」です。

 いよいよ今夜から2試合、夢の球宴が行われる。

 私もロッテ時代に2005~07年、09~12年まで計7回出場した。

 私の球宴でのモチベーションは高かったことを覚えている。何より目標があった。それは若手主体のフレッシュオールスターと主力が集うオールスターの「ダブルMVP」受賞だ。

 ダブル受賞は、蓑田浩二氏、石井浩郎氏、青木宣親氏、藤本敦士氏の過去4選手しか獲得しておらず、野心に燃えていた。

 意外にもフレッシュでのMVP受賞が難しく、新人王の資格選手があること、オールスター出場経験者はNGなど“縛り”があったのがダブル受賞者の少ない理由か。

 14日に倉敷で行われたフレッシュ球宴を解説席から見たが、MVPを獲得した巨人岡本の1発は大器の片りんを感じさせる当たりだった。また、私も01年のフレッシュでMVPを獲得したことを思い出した。

 06年のオールスターではフレッシュに続きダブル受賞を狙っていた。結局、同年のオールスターでは優秀選手どまり。あと1つ、上が取れなかった。ただ忘れられない思い出は残った。右翼席に本塁打を放ったが、相手が中日の川上憲伸投手だったこと。川上選手は私と同郷の徳島出身。高校時代から地元では徳島商のスーパースターだった。1学年上の先輩で、私は鳴門工時代、公式戦で高校1年の秋の県大会、同2年の夏の県予選で対戦したが1本もヒットを打つことができなかった。プロで憧れの川上投手の外角直球を捉えた1発は、はっきり覚えている。

 今では交流戦があるため、リーグの異なる投手との対戦に新鮮さがちょっぴりないのかも知れないが、野球本来の楽しさを思い出させてくれる、まさに夢の球宴だと思う。

 勝敗も、成績も関係なく本塁打を狙っていける。打てなくても気にしなくていいのが楽しい。思い切りいける機会というのはなかなかないため、球宴ならではだと思う。

 二刀流の日本ハム大谷は打者で出場するようだが、イキのいいセの投手がどこまで大谷を封じ込めるのかも個人的には楽しみだ。

 変化球もまぜた配球が真剣勝負という人もいるが、個人的には直球勝負を挑んでほしい。直球と分かっている相手を抑えられるか、そんな力勝負は球宴ならではだ。

 また、オールスター専用のグラブ、リストバンドなどカラフルな野球道具で試合に臨む選手もいるかも知れない。俗に言う「目立とう精神」なのだが、好プレーした場合にカラフルな用具が印象アップにつながるかも。

 新庄剛志氏がかつて“黄金バット”で出場したときは驚いた。そういう私も白、紫の捕手用具を身につけて出場したことがある。周りから見ている人にとってはアニメ・ドラゴンボールに登場する「フリーザ」みたいに見えたかも知れない。

 今年はどんなドラマ? が起こるのか、真剣勝負とパフォーマンスの両方に期待大だ。

 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)