胸が躍った。最速152キロ右腕、県岐阜商・高橋純平投手(3年)が、いよいよ甲子園に見参する。対戦相手は古豪松商学園に決まった。

 「マウンドでは、冷静に自分を見失わずに投げたい。予想スコア? 5対0とか…。でも、2点あれば大丈夫です。三振より球数を少なく、できれば100球ぐらいで勝ちたいです」

 手足が長く、端正な顔立ち。口調は物静か。だが、心意気は大胆。完封発進とばかりに言い切った。

 昨秋の東海大会は4試合33イニングで自責1。防御率はわずか0・27。県大会を含めても77イニングで同0・47。「2点あれば…」との言葉もうなずける。東海大会の準決勝の対いなべ総合戦(三重)で最速152キロをマークした右腕は、今大会屈指の好投手で、プロからも熱視線を浴び続ける。一冬越し、走り込みでさらにたくましい下半身を手に入れた。

 「秋から走り続けたことで『脱力』できるようになりました。今までは下の厚みがなかったんです。フィニッシュのときには軸足に重心が残らず、上にも下にも100の力が伝わるようになりました」

 成果はすぐに表れた。練習試合が解禁された3月8日、対飛龍戦(長良川球場)で9回1イニングを投げた際に「気持ちを7割にして外を狙った」ところ再び152キロを計測した。高橋は機動力を繰り出す松商学園にも「クイック投法でも同じストレートを投げる自信はあります」。主将に任命した小川信和監督(43)も「チームを引っ張る原動力。逃げない姿勢を貫いてくれている」と信頼を強調する。

 センバツ史上最速は大阪桐蔭・藤浪(阪神)らの153キロ。「スピードじゃなく、勝ちたいです」と語る高橋が、甲子園の伝説になる春が近づいた。【寺尾博和】