「ダル流トレ」で、埼玉の頂点を目指す。埼玉栄監督に復帰した前九州国際大付(福岡)監督、若生正広監督(64)が、就任後初の公式戦となる南部地区予選に挑み、7回コールドで浦和工を破り、県大会出場を決めた。東北(宮城)ではレンジャーズ・ダルビッシュを指導するなど、春夏通算11度の甲子園出場を誇る。公式戦は昨夏の東海大四(北海道)戦以来。「去年の甲子園以来ですから。普段通りできたと思います」と笑った。

 1日に正式就任し、まだ指導を初めて約2週間。7回2安打無失点の出井敏博投手(3年)には「3日間付きっきりで教えました」と言う。ポイントは、股関節の柔軟性と体重移動。出井は「ダルビッシュ投手も股関節を柔らかくして、体重移動を重視したと聞きました」と感激。5回終了時には全選手がベンチ前で股関節の柔軟体操を行い「ダル流トレ」を実践した。

 試合は6回に7安打で7点を奪いコールド勝ち。21日には県大会抽選会が行われる。若生監督は「埼玉のレベルが分からないから、強いところ、骨っぽいところとやりたい」と希望。約25年ぶりの埼玉栄復帰に「みんな真面目。東北とか九国では考えられない。もう少しやんちゃで、もう少し野球がうまい方がいいね」と、独特の表現で、選手に強さを求めた。【前田祐輔】

 ◆若生正広(わこう・まさひろ)1950年(昭25)9月17日、宮城県生まれ。東北(宮城)では3年夏に甲子園出場。法大から社会人野球のチャイルドに進み、87年に埼玉栄の監督に就任。その後は東北、九州国際大付の監督を歴任した。甲子園には春夏通算11度出場し、準優勝2回、通算成績は16勝11敗。主な教え子は西武嶋、ヤクルト雄平、DeNA加藤ら。