秋田工は7回コールドで湯沢に快勝し、2回戦進出を決めた。右腕エース五十嵐拓海が1安打12奪三振で無失点に抑え、県大会初先発勝利。打線も毎回の計15安打で援護し、出原和樹主将(ともに3年)が選手宣誓した開会式直後の開幕試合を制した。

 一時は完全試合の期待も抱かせる快投で、五十嵐が秋田大会の開幕を飾った。5回表1死まで完全投球。味方失策で走者を背負ったが、すかさず一塁けん制で刺し、無安打無失点を続けた。4者連続を含む毎回の12奪三振。相手4番を除く先発8人から三振を奪った。コールド勝ち目前の7回1死から中前打を許し、「いけるかなと思いましたが、意識しすぎて打たれてしまいました」と照れた。

 自己最速は139キロ。秋田西中では秋田市選抜にも選ばれた。中学2年時に習得したフォークやスライダーなど、多彩な変化球を操る。だが地区予選はフォークが落ちずに苦しんだ。その反省を生かして、「7、8割の力で投げた」というこの日は中盤以降に復活。「最初は開幕試合で緊張しましたが、点をとってくれたのでリラックスして投げられました」と打線に感謝した。

 地区予選敗退の昨秋後は、走りこみや階段の上り下りで下半身を強化。投球時の左手の開きも修正し、球威と制球力を高めた。打線も3番鈴木黎(2年)が4安打3打点。開会式で選手宣誓した8番出原主将も3安打1打点と活躍するなど、投打がかみ合った。藤原一成監督は「初回に先制してのびのびやれた。五十嵐も追い込んでからのフォークがよかった。ヒットを打たれた後も落ち着いていた。体も心も成長した」と評価。今日22日、秋田中央と対戦する五十嵐は「去年の秋に負けているのでしっかり抑えたい」とシード校撃破を誓った。【佐々木雄高】