静岡県高野連は2日、来春のセンバツ高校野球21世紀枠県推薦校を浜松西に決定したと発表した。推薦理由として「学業と野球部活動の両立」、「施設面でのハンディを克服」の2点を挙げた。報告を受け、佐藤光監督(41)は「非常に光栄です。選手たちのやる気の原動力になります」と喜んだ。

 浜松西は、1924年(大13)創立の伝統校として知られる。県西部地区の進学校で、昨年のノーベル物理学賞を受賞した天野浩教授(55)の母校としても話題になった。02年からは中高一貫制となり、グラウンドもサッカー部、中学野球部、同サッカー部と併用。限られたスペースの中で密度の濃い練習を行うため、メニューも選手に考えさせるなど自主性を重んじてきた。部員数も23人と少ないが、「その分、1人1人に接する時間も多いのはメリット」と佐藤監督。西部敗者復活戦を勝ち抜いて挑んだ秋季県大会は2回戦で静岡に5-9で敗れ、16強に終わったが、確実に力をつけてきた。

 エースで主将の水谷開人(2年)は、理系でデータ分析も得意だ。右下手投げから最速110キロ前後だが、時にはサイドや上手からも投じるなど、クレバーさが持ち味だが、今回の推薦には「驚きしかないです」と言い、「(甲子園)出場にふさわしいレベルまで引き上げたいです」と気を引き締めた。

 県勢初の21世紀枠でのセンバツ出場へ向けて、まずは順当に1次試験を突破。本試験合格を夢見て文武両道の道を突き進む。【鈴木正章】

 ◆21世紀枠 第73回大会(01年)から導入されたセンバツ大会の出場特別枠。原則として秋季都道府県大会の8強以上(参加128校以上は16強以上)で、練習環境のハンディ克服、地域貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。08年の80回記念大会から3校を選出している。