鶴岡東がサイクル本塁打で酒田南を圧倒し、2年連続5度目の夏の甲子園に王手をかけた。初回に3番丸山大外野手(3年)が先制ソロを放つと、2回には9番萩原誉人内野手(3年)が3ラン。主将の4番佐藤内野手(3年)が4回に満塁弾、5回には2ランを放ち、16-5の5回コールドで決勝に進出した。プロ注目の酒田南・石垣雅海内野手(3年)は2打数無安打に終わり、敗れ去った。今日21日は決勝が行われる。

 勝利の「花火」を4発、ぶち上げた。初回の3番丸山の先制ソロを号砲に、サイクル本塁打で10点をたたき出すなど14安打16得点。今大会3戦3発の石垣擁する酒田南のお株を奪う空中戦で2年連続の決勝に進出した。5回に放った2ランで夏の山形大会新記録となる31本目を記録した佐藤は「公式戦2本は初めて。高校通算は15、16本です。打撃練習の成果が出た。各自が狙い球を絞って打つことができた」と胸を張った。

 佐藤の読みが当たった。4回1死満塁。丸山が四球を選んだ後の初球だった。「満塁になったから高い確率で初球にストライクをとりにくる」と、甘く入った内角直球を強振した。佐藤俊監督(44)は「甘い球が来たら初球から振っていけと言っていた。名前の通り、チームの要です」と2発6打点の主将を絶賛した。

 悔しさをバネにした。昨夏、佐藤は背番号20をもらいながら、開幕前の登録変更でベンチから外れた。甲子園では1勝を挙げたが、スタンドで応援していたため、素直に喜べなかった。「自分も甲子園でプレーしたかった。あの悔しさがあったから、この1年をやってこれた」。新チームで自ら主将に立候補したのは「チームをまとめて、自分もステップアップしたかったから」。率先して打撃練習に取り組むなど、背中でチームを引っ張り続けて2年連続の決勝にたどり着いた。

 昨秋、今春王者の酒田南を倒し、狙うは夏連覇だ。佐藤は言う。「このままの勢いに、さらに勢いをつけて決勝を戦いたい。今日打っても明日(21日)打たないと意味がない」。鶴岡東「花火打線」に点火するのは、佐藤のバットだ。【高橋洋平】