<高校野球・春季九州大会:福岡工4-3沖縄尚学>◇2日目◇20日◇長崎県営ビッグN、長崎市営かきどまり◇2回戦5試合

 47年ぶりに九州大会に出場した福岡工(福岡)が、センバツ優勝の沖縄尚学(沖縄)を4-3で破る金星を挙げた。エース三嶋一輝(3年)が全国V打線を4回まで無安打に抑え、毎回の14三振を奪う快投を見せた。鹿児島工(鹿児島)は左腕石堂達也(3年)が飯塚に完封勝ち。センバツ出場4校が登場したが、3校が初戦で姿を消した。

 最後の打者を打ち取ると「どうだ」と言うようにマウンドでこぶしを突き上げた。全国制覇を果たした沖縄尚学を福岡工の三嶋の右腕がねじふせた。初戦で06年センバツ準優勝の清峰、そして沖縄尚学とビッグネームを次々と撃破だ。

 「自分の力を全部ぶつけたかった」と初回からエンジン全開だった。センバツで本塁打を放った先頭の西銘生悟(3年)から三振を奪って「三振ショー」の幕が開け、毎回の14奪三振。3回からは5者連続三振を奪い、沖縄尚学打線を4回まで無安打に抑えた。この日の最速は143キロ。キレの良いスライダーに沖縄尚学打線のバットが空を切った。「みんなに助けられて自分の力を出せました」と納得の投球だった。

 秋までは最速139キロだった直球が春は145キロまで伸びた。急成長の要因を「トレーニングの成果です」と下見世宏樹監督(45)は言う。入学当初から週1回の加圧式トレーニングをこなし、冬休みには百道浜を走る砂浜トレーニングを1日も欠かさなかった。入学時には60キロだった体重は現在68キロ。自分のユニホームのベルトが入らなくなり、ほかの選手のものを借りるほど下半身は大きくなった。「春に球を投げたら全然今までと違っていました」と本人もびっくりの成長ぶりだ。

 初戦の清峰戦では15K。2試合で29三振を奪った。福岡南部大会では沖学園、福岡大大濠、東福岡から2ケタ三振をマーク。「三振を取ると『おれの勝ちだ』という気がするでしょ」と三振には人一倍こだわりがある。「沖縄尚学に勝ったのは大きいです。次は九州の頂点に立てるように頑張ります」。174センチのドクターKは力強く言い切った。【前田泰子】