<高校野球・春季九州大会:福岡工2-0浦添商>◇25日◇長崎県営◇決勝

 古豪復活だ!

 47年ぶりに出場した福岡工が浦添商を2-0で破り、初優勝を決めた。2回に井上将(3年)の中前打で2点先制。リードをもらったエース三嶋一輝(3年)が浦添商を完封し、11三振を奪った。三嶋は4試合に登板し50奪三振。初の九州大会の舞台で一気にその名前を上げた。

 普段は派手なアクションなどしないエースがこの時ばかりはマウンドで両拳を突き上げた。47年を経て九州大会の舞台に上がった福岡工が、初の頂点に立った。「(前回出た61年は)私の生まれた年の話ですからね。これまでの努力が実ったということでしょう」。同校OBでもある下見世宏樹監督(47)も感慨深そうにナインを見つめた。

 決勝のマウンドに立ったのはエース三嶋。7回を投げた準決勝から連投だったが、マウンドは誰にも譲りたくなかった。初回から決め球の縦のスライダーで相手の空振りを誘った。「伊波くんからは点は取れないと思ったので、自分もゼロで抑えるつもりでした」。この日も11奪三振。九州大会で登板した4試合すべてで2ケタ三振を奪い50奪三振をマークした。腰や腕に張りはあったが前夜に「先発します」と志願。「エースとして自分が投げて勝ちたかった」と三嶋を支えたのはエースの自覚だった。

 スタンドでは父一彦さん(45)が息子の姿を頼もしそうに見つめていた。福岡大大濠で甲子園に出場した一彦さんだが「息子はもう父親を超えていますよ」と息子の成長を喜んだ。高校は私立強豪校への進学を希望したが、体が小さかったこともあり入学は実現しなかった。「福岡工での指導のおかげです」と一彦さん。今回は沖縄尚学、東福岡など私立強豪校を次々と破っての優勝だ。

 「強いチームとやってすごく勉強になりました。これからの練習で完ぺきな状態で甲子園に行きたい」と三嶋。96年の東筑以来、私立勢が占めている福岡県代表に、県立校として風穴をあけることが三嶋の一番の目標だ。【前田泰子】