センバツ準優勝からわずか2日で、花巻東(岩手)が夏の日本一に向け始動した。同校グラウンドで4日、八戸工大一(青森)と練習試合を行い1-1で引き分け。エース菊池雄星(3年)は試合出場はなかったものの、筋力トレーニングやノックを受け、夏へのさらなるパワーアップを誓った。チームは、佐々木洋監督(33)の厳しい言葉から夏へのスタートを切った。

 約50人が観戦に訪れ、準優勝の余韻が残る中での再始動だった。連投の疲れが残る菊池は、別メニューで始動。約100キロのベンチプレスを担ぎ、120回ほどスクワットをこなした。「夏1人で投げきるため」と基礎体力のアップに、死ぬ気で取り組む覚悟だ。

 152キロ左腕は栄養面も自己管理する。1年時からサプリメントを服用し、ビタミン、アミノ酸を摂取する。「亜鉛も摂ってます。貧血気味なんで」と体質改善にも取り組む。「自分のけがでチームの勝敗が左右される。責任を感じながら24時間、野球のことを考えたい」と自己管理を徹底し、日本一奪取を目指す。

 菊池が掃除責任者を務める、グラウンド脇のトイレも「夏仕様」に様変わり。トイレ内のホワイトボードに選手たちが毎日、言葉を書き込む。この日は「もう一度すべてを見直そう」と書かれた。「トイレも日本一に」と1月に菊池が出したアイデアだ。

 前日の帰郷後には、小学生時代から応援してくれた、60代の女性新聞配達員に祝福の花をもらった。まだ準優勝の熱気が冷めぬ中、菊池は「岩手県を勝ち抜くのも大変。ゆるい球をもっと磨かないと」と冷静に、夏への道のりを思い描いた。【三須一紀】