23日開幕予定の第83回選抜高校野球大会に出場の意向を固めている東北(宮城)が17日、11日の東日本大震災後初めて本格的な練習を行った。仙台市泉区の同校にある室内練習場で、大会登録メンバーを中心に約4時間、ティー打撃や守備練習を行った。大会の開催の可否を協議する臨時運営委員会は今日18日、大阪市内の日本高野連で開かれる。

 白い息を吐きながら、白球の感触を確かめた。11日の被災から6日、これまで自主練習を続けていた東北のナインが本格的な練習を始めた。甲子園の登録メンバーとそれ以外の2年生数人が、室内練習場で汗を流した。ティー打撃やノックなど、チームとして被災後初めて体を動かした。

 ブルペンで約40球を投げ込んだ4番でエースの上村健人主将(3年)は「野球ができるありがたみを感じる」と、かみしめるように言った。被災直後から学校近くで部員全員でボランティア活動を行ってきた。メンバー外の選手はこの日も、近くの中学校で給水活動に励んだ。上村は「自分たちでできることは、こっちにいたらボランティア。あっち(甲子園)にいったら、全力疾走」と話した。

 センバツの開催可否は、今日18日に開催される日本高野連の臨時運営委員会で決まる。出場を前提に移動手段の準備などできる限り進めているが、戸惑いもある。上村は「出させてもらえる方で考えてもらっているのはうれしい一方、こういう時期にやっていいのかという思いもある」と複雑な心境を吐露した。

 女房役の吉川(きっかわ)心平捕手(2年)は、宮城・塩釜市の実家がどうなっているか分からない。友人伝いに、寮監から両親の無事を伝えられた。「(伝言で)頑張れと言われた。出られるなら出たいです」と気丈に語ったが、仙台市内に避難している両親とは直接連絡が取れていない。

 部員は午前9時、午後3時の1日2食で過ごしている。断水状態が続き、洗濯もできない。対外試合も昨年11月から遠ざかっている。上村は「こういう状態なので仕方ない。僕らは全然良い方。そんなこと言ってられない」と神妙な面持ちで言った。【今井恵太】