<高校野球大阪大会:金光大阪7-5太成学院大高>◇27日◇4回戦

 近畿NO・1左腕、太成学院大高の今村信貴投手(3年)が金光大阪打線の前に敗れた。

 まさかの4回、一挙5失点だった。今村が相手5番の平敏輝内野手(3年)に3ランを浴びた。捕手の変化球のサインに首を振りストレートを選択。「力のある打者。ベストボールで勝負したかった」。その球を左翼芝生席に運ばれ、14安打7失点で夏は終わった。

 試合後「きょうは翔馬がずっと隣にいました」と明かした。昨年5月に交通事故で亡くなった野球部の同僚、福長翔馬さん。甲子園に連れて行くと誓った親友に救いを求めるほど、この日は苦しかった。強風の試合。石田寿也部長(32)と話し合い、変化球が中途半端な当たりになるのを懸念しストレート勝負を選んだ。結果的には速球対策を積んできた金光大阪につかまった。

 石田部長は「かわいそうなことをした」と悔やんだ。だが「上でやりたい」とプロ入りを望む左腕への評価は揺るぎない。日米9球団が視察。オリックス長村編成部長は「左の高校生ではトップクラス。球を長く持てる才能は天性」と絶賛した。今後を見守りたい選手へと今村は成長した。【堀まどか】