<春季高校野球北海道大会:富良野2-0旭川農>◇18日◇旭川地区3回戦◇旭川東光スポーツ公園

 ジンクスなんていらない-。富良野のエース吉田拓也(3年)が旭川農打線を2安打12奪三振で完封し、チームを4強に導いた。昨秋までは験担ぎに「黄色いパンツ」を履いて試合に挑んでいたが、45年ぶりに出場した秋季全道後に廃棄。オフは肉体改造に取り組んでパワーアップし、ジンクスにこだわらない実力と自信を兼ねそろえた。69年以来43年ぶりの春全道へ、あと2勝だ。

 勝利のアイテム「黄色いパンツ」に別れを告げる、堂々としたマウンドさばきだった。富良野の吉田が旭川農を2安打完封し、43年ぶりの春全道へマジック2を点灯させた。今大会から、秋まで試合時には験担ぎに必ず履いていた黄色いパンツを履いていない。秋の全道を経験し、ひと冬を越え、ジンクス無用の自信を身につけた。「ボロボロだったんで、お母さんに捨てられてしまった。でも、もう必要ない。力がついた実感がある」と手応えを口にした。

 最後まで主役をクールに演じ切った。カーブと縦のスライダーを決め球に、5種類のボールを駆使し、相手打線を翻弄(ほんろう)した。ピンチらしいピンチもなく、9回を投げ抜いた。喜びを表現したのは最後の打者を仕留め、胸の前でグラブをポンポンとたたいた時だけ。試合中はもちろん、試合後も笑顔はなかった。次へ向かう強い気持ち表れだった。12奪三振の快投も「三振にこだわりはない。狙える時に取れればいい。先頭打者を出さないと決めていたが、4回に出してしまった。そこが課題」と反省した。

 大舞台の経験が自覚を芽生えさせた。秋の全道は初戦の2回戦で函館大有斗を6安打完封したが、準々決勝で札幌新川に暴投で2-3のサヨナラ負け。パワー不足を痛感し、冬はビルドアップに努めた。下半身強化を重点に置き、練習後に帰宅すると毎日6キロ走ることを日課にした。徹底していなかったプロテインの摂取もウエート後と就寝前と、効率の良い時間を考えて摂取するようになった。学校には昼食のほかに、おにぎりも持参。食事は毎食ご飯3杯をノルマにし、体重は62キロから70キロにまで増えた。「最初は食べられなくて腹が痛くなったりしたけど、今は大丈夫。パワーがついた」と自信を深める。

 春は掲げる大目標、甲子園への布石だ。「全道は行くと思っている。チームのために、自分ができることをやっていきたい」。背番号1の視線は、まだ見ぬ夢舞台に向けられている。【松末守司】