今日7日は20都府県で地方大会が開幕し、各地で熱戦の火ぶたが切られる。

 もう1度甲子園で、あの虹の弧のようなホームランを見たい。龍谷大平安(京都)のスラッガー高橋大樹外野手(3年)が昨夏2回戦の新湊(富山)戦で放った高校通算26号は、甲子園の左翼スタンド中段に楽々届いた飛距離といい、打球が描いた豊かな放物線といい、「アーチスト高橋」しか打てない1発。原田英彦監督(52)が同じ教え子の西武炭谷と比較して「守りでは銀仁朗だが、打球を遠くに飛ばす力は高橋」と評した才能が理解できた。

 素顔はとにかく、ほほ笑ましい。打席での心構えを尋ねたら「振った瞬間『飛んでけ~』って祈ってるんです」とまじめに答えた。実際、祈る必要などないほどの打球を打つのに。

 原田監督は愛情を込め「まだまだ子供」と言う。才能にまかせてプレーする選手だったが、今年1月5日に右肩と右肘関節鏡視下手術と右肘痛の原因だった骨片を除去する手術を受け、考え方が変わった。「手術だけでもショックだったのに、『肩と肘を痛めたのは自分のせい』とお医者さんに言われたときには涙が出ました」。投げる際に左膝が突っ張り、右腕を振り下ろす自然な動作をブロックしていたという。今は原因の1つの体の硬さを克服するため、ストレッチに励む。

 昨夏から不動のドラフト上位候補。ケガで苦労し、成長した姿で夏の京都を沸かせてほしい。【西日本キャップ・堀まどか】